モデルの変遷 アップライト編 その4

2022年3月24日(木)

 

その4 アカデミーの登場

1990年代に入るとベヒシュタインはブランドをいくつかに分けて展開していきます。ここではベヒシュタインに限って書いていこうと思います。

 

Zimmermannというブランドで1990年代は(おそらくザイフェナースドルフ工場を買収してから)販売してきましたが、あまりにもドイツ的な名前からアメリカ市場で受けなかったため、ベヒシュタイン・アカデミーに改名したと聞いています。とはいえZimmermannも古い歴史のあるメーカーでしたので、ドイツ人にはなじみ深いピアノだったのではないかと思います。(余談ですが、ピアニストのC.ツィマーマンはZimermanというつづりです。ヴァイオリニストでは同じつづりF.P.Zimmermannツィンマーマンがいます。) 現在は中国でOEM生産をしたピアノにこのブランドは使われています。

 

そのアカデミー(従来のシリーズをゴールドライン、アカデミーはシルバーラインとも呼んでいた)、初めはA1、A2,A3というモデルで展開していました。日本では2005年ごろからではなかったかと思います。(ZimmermannがZ1,Z2,Z3としていたのでそれを引き継いだ形です) ロゴは“BECHSTEIN”というシンプルなものに。A3が116cmくらいの小型モデルで、A1は124㎝くらいあったでしょうか。バック構造はClassic118(ゴールドライン)などと同じですが、アグラフを止めてプレッシャーバー・ヒッチピン構造にし、当時は製造の効率を上げるため側板(親板)をつける前に仮腕木、棚板を付けて組み立て、後から外装パネルを取り付けるという作り方をしていました。ゴールドラインに比べ、特に高音域で明るくふくよかな感じの音がするピアノです。他弦へより共鳴させ、インハーモニシティも変わってきます。ゴールドラインに比べクリア過ぎないという意味で好みが分かれるところです。

その後プレミアムシリーズと一時ブランドを変え、モデル名はB116,B120、B124となりました。外装デザインの違いでB116ではAccent、Compactという2つが、B124ではImposantとStyleとなります。B120はSelect。そしてミレニアムM116Kのデザインを踏襲したB112 Modernが出てきます。これはかなり期待されたモデルだったと今は思います。ピアノの価格が徐々に上がってきており予算が厳しいという方に、シンプルかつ価格も抑えられたModernは入門機種としてすでに根付いてきました。そのModernにもChrome Artという金属パーツがシルバーになったモデルも登場し、個人的には中身は同じと聞いていてもクロムアートの方が響きがいいのでは?と思いました。

A114 Modern

 

A114 Modern Chrome Art

 

つづく

 

 

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