今月の1枚 Mai 2022
Im wunderschönen Monat Mai

2022年5月2日(月)

 

 

やはり5月にはこの曲を思い出してしまう。H.ハイネの詩にシューマンが素晴らしいピアノをつけた歌曲集、「詩人の恋」の冒頭の曲。

「素晴らしく美しい5月に」はこの季節にどうしても聴きたくなります。最近日本では、5月になるとすでに夏の日差しが照り付けていますが、ヨーロッパの5月は本当にすごしやすく、日も長くなりこころが踊りだすような季節です。

しかしこの曲の雰囲気は、「まぁまぁ、落ち着いてください、うれしい気持ちもあるけど、逆に物悲しい気持ちもあるんじゃない?」と意味ありげな解決しない音で次の曲へ続いていきます。

どこかのドイツ語講座のコラムに、この曲はタイトルとは裏腹にすでに詩人が失恋することを暗示しているとありました。詩を読むと、

Im wunderschönen Monat Mai,
Als alle Knospen sprangen,
Da ist in meinem Herzen
Die Liebe aufgegangen.

Im wunderschönen Monat Mai,
Als alle Vögel sangen,
Da hab ich ihr gestanden
Mein Sehnen und Verlangen.

こうあります。つぼみが膨らみ、恋が芽生える。小鳥がさえずり、その気持ちを恋人に告げるのですが、als~が過去を表すことから、詩人は昔を思い返しているということが読み取れると。なるほど、と勉強になりました。曲だけでなく、しっかりと詩の部分も読み込まないといけないなと思いました。

このWerner GüraとJan Schltszの演奏はゆっくりとかみしめるような歌いだしです。Bechstein使用もどのモデル、年代もわかりませんが、古いものではないかと思います。F.DieskauとEschenbachの演奏もBechstein使用ですが、甲乙つけがたい(好みの問題ですが)と思っています。

1 thoughts on “今月の1枚 Mai 2022
Im wunderschönen Monat Mai

  1. フィッシャー・ディスカウとエッシャンバッハのCDは何年も愛聴していますが、まさかベヒシュタインだったとは、あの音色はそうだったのかと納得いたしました。教えて頂きましてありがとうございます。スタインウェイには出せない音ですね。歌声とよく混じり合って一体化しているように思えます。同じCDのリーダークライス等もベヒシュタインなのでしょうか。

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