巨匠

2012年8月10日(金)

ルドルフ・ゼルキン(Rudorf Serkin) のサインが鉄骨に入ったC.Bechstein Sと、バドゥラ・スコダ(Badura-Skoda) のサインが鉄骨に入ったC.Bechstein Kがドイツから八王子工房に届いた。
巨匠が二人鎮座しているようでピアノの前に行くと妙に緊張してしまう。

Bechstein S R.Serkin

ユダヤ人のゼルキンはこのピアノにサインを入れた四年後にアメリカに移住してしまうわけだが、このピアノは、忌々しい歴史が刻まれてしまった時期以前の多くの音楽家が、ベヒシュタインサウンドの魅力を評価していた事を知らせる一証人ではないだろうか。

スコダはウィーンを代表するピアニストの一人として知られている。スコダは、親しくしているルドルフ・マイスター教授の先生にあたる。以前マイスターさんが「ピアノを演奏している後ろ姿を見ると、ウィーンでピアノの勉強をしたかどうかすぐに解る」と言っていた事がある。スコダは、そのウィーン式メソッドを現代に継承する第一人者になる。
彼らの演奏では手を大きく振り上げ、鍵盤を叩きつけるという事はありえない。
フォルテの時程体がリラクスしているのが僕が見ても解る。このピアノは一つずつの音を大切に扱う演奏に適した楽器なんだと思う。

Bechstein K B.Skoda

こちらの楽器は、少し大掛かりな修復をする。

今日、工房で修復内容と行程の方針を話し合った。
良い緊張は工房にたまに必要だ。

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