「異国風」「外来の」と訳されるエキゾチック、そもそもピアノはヨーロッパ発祥の楽器、日本人にはエキゾチックに決まっている。しかし最近活躍している若いピアニストにとって、ピアノは生まれてからずっと身近にあった楽器。その人たちにとっては「異国情緒あふれる」とか「外来の」という意識はもうないだろう(と思う)。自分もお客さんと「ピアノはヨーロッパの民族楽器です」と話しているが、普段はあまり意識していない。それだけピアノを含めた西洋音楽(楽器)が広まり浸透しているということだろう。自分は逆に邦楽、日本各地の民謡を聞いたりすると、その音階や楽譜などに新鮮な感じさえする。(小学校時に音楽の授業で邦楽があり、水道管で作った能管や篠笛を吹いていた)
とはいえ、とはいえ、ピアノ音楽に「異国風」と感じる時がある。それはいつもよく聞くヨーロッパの中心ではなく、少し周りの国々の作曲家の曲ではないだろうか? 北欧、ロシア、スペイン・ポルトガル、ハンガリー、南米など。(個人的にシベリウスのピアノ曲が好きだからよく聞いているので、シベリウスやカスキ、メリカントを異国情緒あふれる曲とは感じていないが)スペイン・ポルトガル、ハンガリー、南米の曲にそれを感じているのは「耳慣れない音やリズム」=「異国風」という認識があるのかなと思う。
100年以上前、パリの万博で日本や他アジアの音に出会ったドビュッシーの曲には、東洋を感じるものがある。音階、和音の組み合わせでそうなるのだろう。彼らには「異国風」に聞こえても、自分達日本人はそれを「あぁ、ドビュッシーだわ」と聞いている(のかな)。「エキゾチック・ジャパン」と当時は言われていたのだろうか?
次回は「面白いピアノ」です。