2007年1月12日(金)
漸く、今日夕方、切れた弦を張る事ができた。
1830~40年頃製造のオリジナル フォルテピアノが、一月ちょっと前に行われたF先生の赤坂のSホールでのコンサートのとき断線してしまった。
先生夫妻は、声楽とピアノのデュオだが、ドイツリートを専門にされているので、本当にこのフォルテピアノの響きが美しいアンサンブルに映える。
コンサート当日はACSのO君が調律に行った。幸い3本弦の所だったので、演奏には支障無く無事コンサートを終えたと聞いていたが、さぞかし焦ったと察する。
古い弦が切れた時は、弦をつなぎ合わせる事もする。しかし、工房でやろうと試みたが、かなり弦の金属疲労があり、弦が折れてしまいつなぐ事も上手くできなかった。
なので、ドイツのチェンバロの部品を扱う会社に、日本では通常手に入れる事ができないイギリス(マルコムローズ)タイプの真鍮弦を注文した。そして昨日、クリスマス休暇等の影響で、注文してから数週間後になったが弦が届いた!
ユーロ高で少し高い部品になってしまったが、これで安心してフォルテピアノを演奏会で又使う事ができる。
いつも扱うベヒシュタイン等のピアノと違い、このローゼンベルガーのフォルテピアノは、張力も低く、弦も柔らかく、全てが自分には必要以上に敏感でもあるので、弦の張り替え修理を、まるで赤ん坊のおむつ交換の時の様な気持ちで挑んでいた。
このフォルテピアノで弾くシューベルトはなかなか良い。甘くて、切なく、それでいて、しっかりした発音をしている。
デジタルでないアナログの響きは、自然そのものだ。