修復への想い

2006年12月27日(水)

今年の暑い頃、奈良から古いベヒシュタインを買取った。
戦前、所有者のお母様が、奈良から東京にピアノのレッスンに通っていて、その先生から譲り受けた物だという事だった。所有者の方はピアノはお弾きにならなく、所有者のお母様が亡くなってしった後、そのピアノを誰も弾かなくなってしまったそうで、どなたかピアノの好きな方の手に渡るように修復してもらえる所に譲りたいと言う事で、我々の手にそのピアノの将来がゆだねられる事になった。
「子供の頃、母が弾いていたこのピアノの音は本当に奇麗だった。でも、修理をいつかして、それからあまりいい感じではなくなったと母が嘆いていました」
という言葉に、重い責任を感じながらの岐路だった事を思い出す。
ピアノが工房にやってきて約半年、ピアノの修復が完了した。この修復は、工房のM課長が担当し仕上げてくれた。
以前、どこかでベヒシュタインにとって適切ではない修理がしてあった為、オリジナルハンマーが装着されていなく、ベヒシュタインの技術責任者とメールでやり取りし、当時の物と同じ形状のハンマーを製作してもらうなど手間がかかったが、手間をかけただけの作品に仕上がった。
千歳烏山のショールームのK店長が担当する、音楽大学ピアノ科先生がこのピアノを大変気に入ってくださり、年内に納品する事が決まり、所有者の方のピアノへの想いが、このピアノを導いて下さったような気がして、出荷はとても感慨深い物だった。

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