共鳴

2012年7月11日(水)

特定の音が共鳴していると演奏に支障をきたすが、わざと共鳴させる弦の部分を設けているピアノもある。
現行品のベヒシュタイン・グランドピアノはこの共鳴弦部分が設置されている。
その共鳴部分をDuplex-Scalaと言うが、よく見るとピアノの機種によって共鳴させるべき音程が異なっているのが面白い。
同じ音に対して、あるピアノでは2/3を取っていたり、別のピアノでは1/3を取っていたり、又は1/1だったり1/2だったり様々だ。
この共鳴部分の音程比でピアノ全体の響きの具合が異なる(まあ当然だろうが)。丁度、ハンマーの整音傾向を少し変えた時に受ける感じと似ている。我々技術者が手を加える事によって変化をさせる幅がDuplex-Scalaがある方が大きく感じる。

反面、古い設計のベヒシュタインは余分な倍音を弦で響かせないように設計している。
この場合、ハンマーによって打たれ振動している弦の音が、ペダルを踏まない限り優先して響く事になる。
なので、その音そのものが濃くなる。混じりけの無い無垢な音。という表現が的確なのだろうか。
この場合、手を加え変化させる部分がフォーカスされ遊び部分が少なくなる感がある。

先週、2日連続でこの二種類のタイプのベヒシュタインを、コンサートホールで調律する事になった。
一日目が杉並公会堂で、2日目が青山 梅窓院・祖師堂だった。
(杉並公会堂にはDuplex-Scalaが装備されるD-280が設置され、梅窓院・祖師堂には意図的な共鳴弦の無いC-91が設置されている)

弦の基本設計は同じベヒシュタインなので略同じコンセプト(張力や倍音の非調和性)で作られているが、倍音の生かし方をこの二種類で変えないとピアノの個性が沈んでしまうのを、連続で調律する事になって改めて感じた。

恐らく演奏者のペダリング、スピード、音域のバランスも変わる事になるだろう。

前回書いた不等分律と合わせ、もう一度自分の中で響きの性格についてこの2つの弦設計のシステムを咀嚼してみたい。と感じた。

しかし、アナログの世界は楽しい。

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