出張

2014年2月7日(金)

冬の東北出張が入った後の寒波のニュースに少しばかりメランコリーな気分にさせられたが、今日早朝目にした盛岡駅前の“かまくら”のオブジェは、まだ半分眠っている意識をポジティブな方向に高揚してくれた。

 

以前宮古に行った時も朝から仕事を入れたいと言う理由で夜行バスで移動した。今回も同じ理由でそのようにした。僕はホテルのベットというか、シーツと毛布の合わせたものがどうにも苦手で熟睡できたためしがない。

しかし、スーツを着て訪問しなければならない場合だと夜行バスは服装にしわが寄るので躊躇してしまう。なので、当日時間に間にあわない場合は前乗りでホテル泊にする。

調律作業の場合、僕は許される限り普通の服で訪問させていただく事にしているので、夜行バスの移動は何の問題も無い。と言うか、その方が結局睡眠が取れる。

長時間の移動と言う意味での比較だが、国際線の飛行機の重低音の響きの中に居るよりも、バスの、それよりも少し高いエンジン音に高速道路走行の揺れが加わると、いつも簡単に心地良い眠りの世界に誘われる。今回もよく眠れた。

 

話しが変わるが、昨日丁度バスに乗る前、今録音に来日しているエル=バシャ(El=Bacha) の調律を担当している阿部君から携帯に電話が入った。昨日朝、録音の為ホールに搬入したピアノの状態が快適だと言う事と、環境の変化(著しい温度変化)によって生じる鍵盤寸法の変化の対応方法の報告だった。

今回は、バイオンリンとのデュオと、ソロでは平均律第二巻の二つの録音がある。

その録音と録音の合間になる今週末、リハーサルとレッスンの関係で汐留のサロンにピアノを一度運び入れる。汐留での調律は自分がやる事になっているので、その時の温度変化を想定した対応方法について相談した。

無垢の木材や、動物の毛を沢山使用するピアノは環境の変化に会わせ変化する。

 

今回の出張は、ベヒシュタインのグランドピアノをご購入頂いたピアノの先生のお宅の納調だ(業界用語で納入後の最初の調律の事を納調と言う)。

納品日や納品後間もなく納調を行なう事が一般的なようだが、ピアノの変化を考慮し問題が無い限り納入してしばらくしてから納入調律を行なうよう、自分たちはしている。

今日のピアノも昨年末に納品された。充分盛岡の空気にも馴染んでくれた頃の納調になる。

案の定ピアノは適度に変化していたので、作業の内容も決して少なくはなかった。

となりに置いてあるピアノにピッチを合わせ、アクションの変化を烏山に置いてあった時の感じに戻した。これでしばらくは良い状態で安定してくれる筈だ。

 

今回は、週末のエルバシャの対応もあることから他の予定を入れず、調律作業のみのとんぼ返りの出張となった。

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