2009年1月13日(火)
40年近く前、杵渕さんというドイツでピアノ製造の勉強をされた方が、国産ビアノを改造し、当時新品オリジナルよりも高価な価格で購入されたというピアノと、今日F様宅で出会わせていただいた。
ハンマーと、恐らく弦もドイツのqualityの高い物に交換されているようであったが、部品の品質は去ることながら、丁寧に取りつけられたハンマーとその加工は、ベヒシュタインの工場でなされるに匹敵する正確さであり、ハンマーの接着部分に固まるニカワの丸いの形と、ハンマーの木の芯の部分に観ることができる加工の丁寧さに、杵渕さんの仕事への情熱を感じさせられた。
丁寧な加工の基礎がなければ、美しい整音は不可能だが、40年近く経っても色褪せない情熱ある気合いに敬意の念を抱きながら調律に従事させていただく事ができた。
杵渕さんが時を越え、職業の意義の再認識と勇気を与えてくださったような気がする。