断線

2011年6月29日(水)

また切れた。。。

この時期断線が妙に多い感じだ。一昨日も断線修理があった。響板が湿気とエアコンの冷気により膨らむ事もその原因にあるかもしれない。

先日新たに弦を張った1800年代中頃のプレイエルの弦が1本切れた、と日曜連絡をうけ昨日修理に伺った。
データーを調べてみた。今回は弾性限界値から75%程度の弦だった。
前回、張弦修理中に断線があったので、弦の張力計算を全部やり直してみた。断線した弦は弾性限界値から80%前後の張力で張られる弦だった事がわかった。
張力計算をやり直し、限界値に対し張力が70%前後に治まるように設定し、フランス経由でイギリスの弦メーカーにオーダーし、丁度一月前に張り直したところだった。

当時のプレイエルの場合、鋼鉄線ではなく軟鉄の素材なので弾性限界値が現代の鋼鉄線に比べ極めて低い。
中高音の音域辺りに使用される直径の場合、鋼鉄弦では100Kg~130Kg程度の張力が弾性限界になる。しかし、軟鉄弦の場合55Kg~65Kg程度だ。
なので、軟鉄の場合、張力の変化が素材に与えるストレスは大きい。

Pleyel Diskant

しかし今回の断線弦は、計算では安全な範囲だったので前回張り直さなかった音だった。
弾性限界張力に対し大幅に張力が低いといい感じの音が出ないのがくせ者なのだ。そうでなければもっと安全な値を取りたい。

安定したポジションさえ解れば、フォルテピアノの弦は結構丈夫な筈なのだ。
設定ピッチを少しだけ下げ、少し様子を見る事になった。

しかし、今日の消費電力は限界値の93%と限界値に切迫したそうだが、この夏のFFな熱さに対して大丈夫だろうか?
この場合ピッチを下げる事に相当する事は節電であり、原発を肯定する事ではないはずなのに。。

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