2008年12月16日(火)
ボジョレーヌーボは美味いかどうかと言えば「まだ成熟と言う物とはかけ離れた味」で、舌ツツミを打つ衝動に駆られるにあたる物ではないように、できたてのピアノも、ワイン程極端ではないが、まだ響きが若い感じがする。
しかし、良いピアノは、弾き込んでいくと、徐々に響きが深くなってくる。
一昨日になるが、今年もPTNAさんのステップが杉並公会堂で行われたので、その手伝いと←(こちらがメイン)調律に行った。
ここのピアノはアシュケナージ氏がベルリンで選定してくれたものだが、納入当時からどこかF1(鳴りが良く、ある意味じゃじゃ馬風)なピアノだった。
普段は別の担当者がこのピアノの面倒を見させていただいているので、今回久々にこのピアノに触ったが、この半年で特に熟成が進んだようで、響きの芳醇さはこのピアノに対して持っていた感覚から大きくずれていて、戸惑いながらも頬が緩んでしまう妙な感じを覚えた。
しかし、PTNAのステップでは、大人の趣味の方々が夜になってくると登場されるわけだが、最終チームの表現力は、本当に趣味なんかい! と思う程。。。
今回スピネットタイプのチェンバロもステージに置き、希望者は両方で演奏できるようにプログラムされたが、最終チームで演奏されたクープランは、チェンバロでもピアノでも本当に知的で美しい表現で、その語りかけられる音楽は、一日の疲れを全て拭ってくれたようだった。
そして最後の出演者のシューマンのカーニバルは、ある意味とてもシューマンらしい感じで、爽快ないい気持にさせていただく事ができた。
本当に心から楽しむ事ができた。