着地

2012年2月14日(火)

引き取ったエラールのアクションの八王子工房での修復が完了し、作業に当たってくれたNさんと今日設置に伺った。
現代のアクションとは部品寸法が異なるっているので交換ではなく有るものを如何に修復するかがポイントになる。
ハイテク機器の修理のように部品ごとそっくり交換する感覚ではなく、現状をなるべく残しながらちまちまと壊さないように作業している姿は、昔の建造物の細かい部分の修復作業に似ているかもしれない。

この19世紀のピアノは、20年近く前にヨーロッパの有名なピアノメーカーの手によって修復され、今の所有者の先生が手に入れたそうだ。
モダンピアノメーカーとはいえ、さすが一流と言われるメーカーの修理は、善意と当時へのレスペクトに溢れていることが今回の作業で感じる事ができた。

Erard Saiten

弦は現代の鋼鉄とは違い軟鉄製で、低音弦は銅ではなくブロンズが巻かれている。
ハンマーは弦に合わせ現代のハンマーフェルトよりも柔らかく小さい。

Erard Saiten

本質を理解した修復のこだわりが、当時の演奏表現へ弾き手聴き手を誘ってくれる。

古い町並みで感じるような、時を越える体験ができたのは嬉しい。
現代の美意識は?と、又いつもの疑問が膨らんだ。

次のルネッサンスがおこってもよい状況だとおもうのだが。。

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