苦闘

2012年9月2日(日)

もう少しためが効いて、ピアニッシモを出しやすく。。。
という依頼を受け、仙川にある音楽大学のプレイエルのオリジナル楽器の調整に悪戦苦闘した。

鍵盤を押してハンマーが上がると言う意味では同じだけど、調整マニュアルも無ければ、作った人はもういない。

考え方の基本は同じだと、調整しては試し、を何度も繰返し、ポイントを探りながら作業をした。
オリジナルのピリオド楽器は、調整が完了した!というポイントがどうにも見つけ難い。
しかし、不完全な物の中に秩序を見いだす事ができると、完全な物によりも強い魅力を感じる。

適当ではなく、焦点がぼけていたら駄目で、何処かしらが整然としていないとその感じは掴めない。でも、パーフェクトと言う意味とは全く違う。

例えばオリジナルのクラシック様式家具やビーダーマイヤー(Biedermeier)を目にしたとき、それらに惹付けられる魅力は、コンピューター操作の機械によってコピーして作られた家具を見た時には無い。コンピューターが作り出す係数的な整然とは違うものだ。

楽器にも、当然音楽にも同じ事が言える。

このような悪戦苦闘を評価しない方向、所謂“標準化”を良しとするような感覚は、楽器にはあって欲しくない物だがこの先どうなる事か。。。

Pleyel Mechanik

アクションの鉛筆のサインは、ショパン当時のプレイエルでベストのピアノ製造職人と言われた“ドノゴエ”の物。

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