記憶

2012年10月27日(土)

匂いの記憶
色の記憶
味の記憶

感覚の記憶には色々あるが、ぼくにとって脳裏の底に沈んでいる記憶の引き金になる感覚の一つに、響き、がある。

今日は、ピアニストの内藤晃さんに依頼を受け、久しぶりに恵比寿にある日仏会館のベヒシュタインのコンサートの調律に行った。
(いつもは他のスタッフが担当しているので)
このピアノが選ばれた経緯は、お茶ノ水にあった同会館の恵比寿への移転を機に、ピアノを新調する事がきっかけだった。

CBechstein C-91

「日仏会館だから、ホールに一般的に設置されているピアノではない、ヨーロッパの良いピアノを設置したいですね」
という故安川 加壽子先生のご意見が尊重されベヒシュタインもその候補の一つになった。
選定の結果、めでたくベヒシュタインがチョイスされた。

調律を初め、90年代前半~半ばに体感した比較的大きなピアノから放たれるユニークな響きを耳で追っていると、その当時のショールーム、横浜市緑区中山のジャーマンセンター内でのピアノを前にしての会話や、それに連鎖して当時の風景が、池の底から上がるあぶくのように心の奥から浮かび上がってきた。

ぼくの場合、時間の経過と共に多くの記憶はかなり深い場所まで沈み、思い出そうとしても難しい場合が殆どだ。
しかし、今日は日仏会館のベヒシュタインの響きが、記憶の底を探り、引き上げてくれた。

少し不思議な体験だが、取り分けこのベヒシュタインがユニークなんだろうか。

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