緑と青(藍・紺) Gruen und Blaeue

2018年11月24日(土)

ながらく使用されてきたベヒシュタインカラーとも言うべき緑色(オリーヴ色とも)が、濃紺(ロイヤルブルー)に変わってきました。弦にからめたり、ヒッチピンや鍵盤押さえなどに使われているフェルトの色についてです。ちょっと前からカタログなどいわゆる「コーポレートカラー」がこの濃紺になっています。楽器であり道具なので、機能さえ十分であれば全く問題ではないのですが、見慣れた緑からの変更は個人的に少し戸惑いがあります。

地域や民族、国によって色をどう感じるのか? 個人的に興味があるので、ちょっと調べてみました。gruen(緑)は青々とした、新鮮な、未熟な、繁栄など意味がありました。この業界に長い営業マンは「希望」という意味があると以前ベヒシュタインの社員から聞いたそうです。

blau (青)は自分の辞書には空色、青ざめた、誠実な、落ち着き、陰鬱、落胆という意味があります。希望や幸福というイメージもあるようです。緑と重なる部分が多いと思います。日本でも緑と青(藍、紺)は同じような意味で取る場合があります。(この区別はなかなか難しいようで、信号の「進め」も青か緑か意見が分かれるところですね)

個人的に緑は、やはりドイツの「森」をイメージします。以前のドイツ警察Polizeiの制服も緑が基調でした。なので、ベヒシュタインの緑もすごく好きな色で親しみがありました。新しくなった「ロイヤルブルー」はその名の通り王室を表しています。フランス王家(ブルボン王朝)は濃紺地にユリの花が紋章として使われていましたので、そのイメージなのかな?とも思いました。

17、18世紀はフランスの文化がヨーロッパで流行し、プロイセンのフリードリヒ大王も宮廷ではフランス語を使用し、ルソーら啓蒙思想家らとも交流していました。各地にヴェルサイユを模した宮殿が造られ、今でこそロイヤルというと英国王室を思い浮かべますが、当時は圧倒的にフランスでしょう。blaubluetig :青い血とは「高貴な出自」を表します。

「王室御用達 Hoflieferantであったベヒシュタインが、Royaleblauを採用したのは、ヨーロッパの人々にある「王室」へのあこがれを表しているのではないか?と自分は思います。日本でも「皇室」関連のニュースは人気がありますが、ドイツ含めヨーロッパ中で英国、デンマーク、オランダ、スペイン(ベルギーも?)王室のニュースは話題になります。

何やらまとまりのない文章となってしまいましたが、常に変化していくベヒシュタイン、少しさびしさもありますが、新しい色(もっと昔は、ベヒシュタインで青色使用されていたとも聞きました)でますます広まっていくようにと思っています。