調和

2009年8月12日(水)

二台のピアノで合わせてホームコンサートをするので、と言う事を、一昨日の調律前に告げられ、ちょっとストレスを感じながら仕事開始。
同じブランドの、同じような設計のピアノだったので(僕の場合、ベヒシュタインと何か、戦前ピアノと戦後ピアノ、と言う事が圧倒的に多く、同メーカーで同設計という場合は極めて少ない)「音程を合わせる」と言う意味では予想以上に容易にいった。エンジニアの緻密な弦設計の計算には脱帽だ。

2 Yamaha GP

いつも二台合わせの調律をする場合に感じるが、ピアノを複数台で合わせる場合、狙っているポイントが表現する曲の状況により大きく違うように思う。何故なら、ピアノは複数の音を同時に出せるので、単旋律を基本にする楽器と効果の狙いを異にする事があるからだ。

ポピュラー音楽では同じ人が何回も声を重ねて録音される曲をしばしば耳にするが、ピアノの音を同色の響きとして織り重ねる場合、狙うところはポピュラー音楽のそれと似たような効果ではないかと思う。その場合、極めて同じ響きのピアノのチョイスの方が効果的なわけだ。

しかし、オーケストラや、バンドのように、異なった音色/響きの楽器を重ねるようにピアノで演奏する場合は、その音色の違いをうまく時間の流れの中に組み入れ、絡むように構築した方がはるかに効果的で、響きに奥行き感が出てくる。

ピアノの合奏の場合、果たしてどちらを狙うかだが、後者の場合は違う音色の個性のピアノの調律を合わせた方が、表現の幅が出るのではないかと自分は思う。(調律師泣かせだが)
ピアノコンチェルトを、オケ代わりのピアノと演奏する場合も、ピアノの響きの感じが違っていた方が表現が面白いのではなかろうか。

複数台数のピアノ合奏があるから同メーカーのピアノを二台用意するのが良し。とする風潮が強い感じがするが(そう言って廻っている人たちがいるようだ)、再考する必要があるように思える。

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