ベヒシュタイン・サロンでの会話から思うこと Vol.2

2015年12月13日(日)

よく汐留ベヒシュタイン・サロンのスタジオを利用されるピアニストから、ご自身のCDの新譜をいただきました。モーツァルトのピアノ・ソナタ集。
何気なく見ると、自分の知っている番号と調、ケッヘル番号が一致していませんでした。「ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 KV.310」と8番はおぼえていたのですが、「ピアノ・ソナタ第8番 ニ長調 KV.311」とCDではなっていました。誤植?と思いましたが、運よく翌日そのピアニストに確認することができました。

従来(私が記憶していた)の8番イ短調 KV.310は、モーツァルトがパリで母親の死に際して書かれたとされています。そして第9番 ニ長調 KV.311は同じ時期に出版されていますが、実は作曲の順番はKV.310よりも前のマンハイムだったと研究でわかり、新しく出版・校訂される楽譜では番号が入れ替わっているものもあります。変更なしのものもあります。

と、謎が解けたところで、いろいろと思うことが。
歴史というのは勝者(支配者)の歴史が一般に広まり定着するのですが、最近はそれらを覆すような研究発表などもあり、今まで自分の「常識」だったことの認識を変えなければいけない場合があります。
日本史では、織田信長、源頼朝の有名な肖像画が実は違う人物の可能性があるとか、鎌倉幕府は1192(イイクニ)年より前にできていたとか、聖徳太子の様々な逸話は、あとから神格化されたものだとか。世界史においてはもっとあると思います。

ピアノの歴史でも、1709年にクリストフォリが発明したとおぼえていましたが、今では少なくとも1890年代後半には作っていたのでは?という説が有力です。
タイムマシンがあれば、いろいろなことが解決するのかもしれません。そもそも西暦というのも本当なのか?とキリがありませんね。