音色

2013年7月22日(月)

一言、楽しかった。

 

末永匡さんと何度かイベントを共にさせていただいてるが、僕には彼がピアノを弾く後ろ姿は、造形の芸術家が作品を造り上げていくようにも見える。
空間に浮かぶ響きの色合いがのが ”見える” のだ。

 

昨日 “フォルテピアノからモダンピアノへ引継がれた音色” と題したイベントを、末永匡さんの演奏・解説で行なった。

 

製造年 ca. 1830年の Rosenberger、ca. 1930 C.Bechstein、現在のC.Bechstein の3台の異なったエポックに製造されたピアノを使用し、楽曲が作曲された当時の響きのなかでどんな音楽造りの可能性が広がるかを検証し、現在のピアノでの演奏に何を見出す事ができるか。がレクチャーコンサートの内容だった。

 

 

Rosenberger/ C.Bechstein

 

 

因に、Rosenbergerは鉄骨が使われていない張力の低い軟鉄弦が張ってある、フォルテピアノとか、ハンマーフリューゲルと呼ばれる現代のピアノになる前の鍵盤楽器。
1750年頃から1850年頃迄の約100年間がこのフォルテピアノが使われていたピークになる。
1850年頃から弦張力を大きくする為に鉄骨の役割が大きくなり、現代のピアノの形に落ち着くのが1880年頃になる。
シューベルト、シューマン、ショパンやブラームス、リストはまさにフォルテピアノがモダンピアノに変化していく途上に生き、ピアノの変化にも影響を与え、逆にピアノの変化に影響を与えられた。

 

今回は、ブラームス、シューベルトの楽曲が演奏曲目に選ばれた。フォルテピアノの鮮明で、しかし淡い混ざり感がある響きで演奏されると、いつも聴いている音楽の中に様々な動きが隠されているのに気付かされる。
夫々の動きが色彩を変え、響きに立体感を与える。音量は小さいが、音楽はとても壮大。
こういう体験をすると、クラシック音楽は味わい深く、本当に楽しめる。

 

これを体験したあとでベヒシュタインで。
それもRosenbergerから100年後の約1930年製と、そこからさらに80年経った現代のベヒシュタインでパフォーマンス。
温故知新とはよく言った物だ。。

 

ピアノを専門に勉強している多くの人達に本当に体験してもらいたいな。と思いながら末永さんとレクチャーを共にする事ができた。
【演奏作品】
・ブラームス:幻想小曲集作品116
・シューベルト:即興曲作品90第3番
・シューマン:トロイメライ(子供の情景より)

 

【素材として抜粋演奏】
・リスト:愛の夢第3番、バラード第2番
・スカルラッティ:ソナタk.87

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