ベヒシュタイン・サロンでの会話から思うことVol.1

2015年2月28日(土)

今日は第4回「ベヒシュタインピアノを知っていますか?」を午前中開催し、午後はピアノ教室の発表会。その時に戦前、戦中のベヒシュタインを知る方がいらっしゃり、貴重なお話が聞けました。

豊増昇に師事したその方は、師より譲り受けたベヒシュタインのグランドを弾いていたそうです(おそらくB型)。豊増昇と言えば、日本人で初めてベルリン・フィルの定期演奏会に出演し、ベヒシュタインを弾いていたことでも有名です。(ベヒシュタインのカタログにもサインがあります)

その方は戦中は上海にいらっしゃったということで、戦禍を逃れて中国へ来た音楽家達によるオーケストラの話、指揮者の話も聞きました。当時ユダヤ系の音楽家はドイツ、ドイツ占領下にはいられなくなり、遠くアメリカや、アジアへ来ており、それによってアジアの音楽レベルが格段に上がったというのは何か皮肉に感じます。

最近読んだ朝比奈隆の「堂は楽に満ちて」にも同じようなことが書かれていて、非常にタイミング良く今回の話がありましたので、より理解ができました。ローゼンシュトック、レオ・シロタなどと聞くと、遠い昔の人のように思ってしまいますが、まだまだ当時を知る方がいらっしゃる。

サロンにいると、いろいろな方が来場されますので、時に非常に感慨深い話が聞けます。もちろんイベントやレクチャーでは聞けるのですが、何気ない会話から出てくるのはサロンならではだと思いました。

また貴重なお話が聞けるのをひそかに期待しつつ。