日本のハンマーメーカー、「今出川」の研修に参加して

2015年9月24日(木)

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これはピアノのハンマーに使われているフェルトです。と言ってもなかなか分かりづらいと思いますので、次の画像

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これを見ると少しわかるかもしれません。一番下に最初の白いフェルト(カバーフェルト)、そしてその上にアンダーフェルトと言われる色つきのフェルトを乗せ、上からハンマーウッドを押しつけていきます、
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そしてできるのがこの画像のハンマーです。一つ一つ切り離して使用します。
日本には「今出川」というメーカーが浜松にあり、社長の今出川氏が調律師協会の研修で話をして下さいました。
これまでいくつものピアノメーカーにハンマーを供給してきたが、最近は中小のメーカーがほとんどなくなり、海外へ販路を求めていると聞きました。もちろん国産ピアノの修理交換用でハンマーの需要があるので、その部分は供給していますが、かなり減っていると。アコースティックのピアノがなかなか売れない昨今、修理するピアノも減っているということです。
ハンマーフェルトの縮充(しゅくじゅう)には様々な工程があり、羊毛の長さやその硬さで音も変わってくる重要なパーツです。あまりそういった資料がないと今出川さんは話していました。企業秘密の部分が多いと思います。天然の素材だけに、品質の安定という部分で苦労も多いとか。一時期酸性雨の影響で、草が悪くなり、それを食している羊の毛も悪くなったという話を聞きました。
硬さが常に異なるフェルトなので、プレスの力加減も経験がものを言うようです。
技術者としては興味深い話で、ドイツのフェルト、ハンマーメーカーの話も今後詳しく聞いてみたいと思いました。(以前同じような企画で、ドイツのレンナー、アーベルの話を聞くというのがありましたが、人数が多すぎて詳しい話もできませんでした)