ベヒシュタイン動画:ベートーベン ピアノ協奏曲5番「皇帝」 エリー・ナイ(ピアノ) 1944年


 

 

使用ピアノ:ベヒシュタインE;ベヒシュタイン動画

 戦前多くのコンサートホールに設置されていたベヒシュタインフルコンサートE。
 

ピアニスト:エリー・ナイ;ベヒシュタイン動画

 ドイツ生まれの女流演奏家。時の総帥ヒトラーより熱烈な支持を受け、ナイ自身もドイツ労働者党に入党していたために、戦後暫くは汚名を背負い演奏家として不遇な時代を過ごしました。その後ナイの演奏は再評価を受け、86歳で亡くなるまで国内外を精力的に演奏活動で廻り、多くの名声を手にしました。
 

演奏曲:ベートーベン ピアノ協奏曲5番「皇帝」;ベヒシュタイン動画

 第2次世界大戦末期の1944年10月、エリー・ナイ(ピアニスト)とベルリンフィル(指揮:ヘルマン・アーベントロート)による演奏。
 なんと重厚で威風堂々とした演奏でしょう。整然として規律正しい演奏と、ベヒシュタインの立ち上がりの良さと芯の通った音が完全にシンクロしており、まるで軍隊の行進をイメージさせるような力強さに満ちています。
 録音状態が決して良いとは言えませんが、ベヒシュタインの大きな魅力の一つである「ピアニッシモとフォルテの音色の差」がこの録音からも十分感じられます。滑らかなシルクのように雑味のないピアニッシモと、強烈な辛口スパイスのように刺激的なフォルテ。更にペダリングやタッチコントロールによって多彩な音色と立体感、そして何より演奏者の強靭な「意志」が明確に音として伝わってきます。倍音豊かな低音は音の輪郭が保たれ、フォルティッシモで鳴るオーケストラの壁を貫き、まるで雲を突き抜けた瞬間の飛行機から見える青空の如く爽快感すら覚えます。
 この時代はノルマンディ上陸作戦に失敗し、ドイツ敗戦が色濃くなって来た頃。政治的にも感情的にも色々なものを背負っていたのでしょう。この勇敢で心を鼓舞する演奏には、そんな時代背景も影響しているのでしょうね。
 
赤坂ベヒシュタインセンター Shirai

 

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