2015年11月26日から28日の3日間に渡り、マインツ大学音楽学部 マティアス・フックス教授のレッスンとレクチャーコンサートを汐留ベヒシュタイン・サロンと武蔵ホールにて開催いたしました。
両会場とも公開レッスン、レクチャーコンサートには多くのお客様がご来場されました。
レッスンでは、テクニックの話より、 どういうイメージか?どういうストーリーか?という事を熱心に伝えていらっしゃったのが印象的で、 言葉で伝えるだけでなく、先生はまるで役者の様にイメージを受講者の方へ指導されていました。
レッスンはとても密度が濃く、ドイツ語が分からなくても先生が伝えようとしていることが分かる位、 表情や仕草でイメージを表現していて、まるで役者のようでした。
会場から度々笑いが起こるような和やかな雰囲気で、レッスン聴講の方々も持参した楽譜に熱心に先生のアドバイスを書き込んでいらっしゃいました。
1時間があっという間に感じたレッスンは受講者だけでなく、聴講の方にとっても非常に得るものが多かったと思います。
公開レッスン:汐留ベヒシュタイン・サロンでの様子(上)と武蔵ホールの様子(下)
汐留ベヒシュタイン・サロン(上)と武蔵ホール(下)でのレクチャーコンサートの様子
今回のレクチャーコンサートのテーマは「多彩な音色 ~ピアノ演奏と音色の秘密~」とし、音色について迫っていくものです。
音色には、倍音や物の材質、また演奏者がどのような音を出したいのか、それにはどうすれば良いかなど様々な要素が必要であることを話されました。
特に印象に残っているのは、音響空間では混ざりあったり、鮮明になったり、広がったり、狭まったりして、絶えず変化していくということです。
実際にフックス教授の演奏を聴くと常に音色が変化したり、曲によって音のニュアンスが全く異なることが分かり、音色は常に固定されたものではなく、他の要素や演奏者のアイデアによって変わっていかなければいけない、ということが非常によく理解できました。
コンサート後は質問コーナーに移り、たくさんの方がフックス教授に直接質問を投げかけました。教授の話によって皆様から新しい疑問や意見が出て、非常に活発的で有意義な時間を過ごすことができました。
どの質問にもフックス教授は真摯に答えられ、共通して答えられていたのは、こう弾かなければならないという考えに捕らわれず、自由に考え、表現して欲しいということでした。
私達表現者は常に自由な思考で音楽に向き合っていかなければならないと考えさせられました。
レッスンとレクチャーコンサートに使用したベヒシュタインピアノは音の立ち上がりが早く、演奏者のタッチが直にピアノに伝わって、音色に表れるという特徴があります。
タッチやアイディアを一つ取り入れるだけで音楽の表現の可能性は大きく広がります。
皆様もベヒシュタインを弾いて無限の可能性を感じてみませんか?