音色とタッチ

ベヒシュタインのピアノは音色とタッチの双方において伝説的と言える。
それは、多くのピアニストの、この楽器が提供する広範囲にわたる演奏の可能性の高い評価にある。ここにその8つの理由を挙げたい。

1.色彩豊かな音色のスペクトル(層)

ピアノは7と1/4オクターブにわたる音域を備えたポリフォニックな楽器である。
明確に音色の違いを生み出すその能力は、しばしばオーケストラと比較されるのも不思議ではない。
ベヒシュタインのピアノは広域なダイナミックレンジ(音量の幅)と印象的に差別化された色彩豊かな音色のスペクトルがあり、演奏者に無限の表現の可能性を提供する。
ベヒシュタインのピアノを演奏すると、自由に特定の声部を浮き立たせたり特定のメロディーを強調したり、あるいは特定の和音を際立たせることができる。こうしてあなたの演奏はより生き生きとした鮮やかなものとなる。

2.ハンマーヘッド、フェルト、整音

ベヒシュタインは自社でハンマーヘッドの製造部門を有しているヨーロッパ唯一のピアノ工場である。
特殊な長い繊維のフェルトの二層はウォルナット(クルミ材)でできたハンマーヘッドの核にしっかりと締め付けられる。
その後、技術者はより色彩とダイナミズムのある音になるように手作業で整音し、すべての音を調和させる。
ベヒシュタインでは、この作業は、コンサート技術者としての長年の経験のある、ピアノのすべての音の可能性を引き出すことのできる職人によって専ら行われる。

3.棚板、鍵盤のフレーム、鍵盤

鍵盤とそのフレームは慎重に選別された比較的軽量かつ安定した弾力性のあるスプルース材から作られる。
棚板も松材から作られ、ピアノのアクションのしっかりとした土台を築く。
グランドピアノの脚は、ブナの木でできた頑丈なブッシング(穴の内側にはめこむ円筒部分)に挿入される。

4.アクション・アッセンブリ(アクション集積体)

ピアノのアクション・アッセンブリは正確で信頼できるものでなければならない。
完璧なベヒシュタインのアクションは、素材の厳格な選定基準と、正確な寸法、スタッフの専門性の高い技術がベースにある。
ベヒシュタインのアクション・アッセンブリはカエデとシデから作られている。
ハンマーは自由に動くため創造的プロセスを損なうことはない。
ピアニストは鍵盤に抵抗感となめらかさの理想的なバランスを要求する。
このアクションは演奏者の打鍵の微妙な差を、正確に直感的に造作もなく反映する。

5.不可欠な概念

ベヒシュタインのピアノは、完璧なタッチが複雑なアコースティック・アッセンブリの可能性を引出し、そして、響きへの転換ができる事をコンセプトにしている。
すべてのアクションの部品は、各品質検査の過程を経て、厳格な許容範囲内に調整され、そして最終的にこれら部品は、高い負荷に耐えうるテクノロジーの傑作として組立てられる。
数多の偉大なピアニストがベヒシュタインのアクション・アッセンブリの繊細であり且つ、息をのむような操作性を称賛している。

6.良い音色のための特別な基準

タッチとは単に鍵盤の重さや軽さの問題以上のものである。
ベヒシュタインのアプローチは、ピアノアクションの打弦時に、演奏者が感じるすべての感覚の蓄積であるという。
十分にコントロールされた打弦運動と、同様に均整のとれたメカニズムの動きによって生じる響きは、ピアニストに感動を与え、音楽的なアイデアを確実に呼び起こす。

ベヒシュタインの極意

ベヒシュタインのタッチは、演奏者にとって”子ヤギの皮の手袋”のようなものである。
無理なく適合し、それは素晴らしく正確かつ敏感に反応する。
ベヒシュタインでの演奏は容易で、完全なコントロールを可能にする。
ヴィルトゥオーゾにとってのちょうど適切な抵抗感、まさに常に演奏者が望む優雅さを同時に兼ね備えている。
ベヒシュタインを弾いているとき、あなたはピアノの練習が仕事であることを忘れることができる。
完全に音楽に集中し、音楽の霊感を現実のものにすることができる。

7.レペティション(連打性)

優れたアクション・アッセンブリは、あらゆる音の優れた満足のいくレペティションを可能にする。
ベヒシュタインのピアノでは、タッチは、硬すぎず柔らかすぎず、焦点が定まらない、又不正確なこともなく演奏者の打鍵を運動変換し、優れたコントロールとレペティションを提供する。

8.全体の完璧さ

第一級のタッチは、鍵盤、アクション、ハンマーヘッド、アコースティック・アッセンブリの完璧な相互作用を必要とする。
ベヒシュタインのアクションは上述されたすべての特徴をもつタッチを提供することで、初心者とプロフェッショナルの両者が、自由に自分自身を表現することができる。