私がフォルテピアノと出会い、学んだスイス・バーゼル市のスコラ・カントールムには製作年代の異なる様々な楽器が置かれ、その中に今回使用するドゥルケンもありました。レッスン室が空いていれば学生は自由に弾くことが出来たので、朝に夕に熱心に通ったものです。
ドゥルケンの持つ6オクターブにわたる音域は古典派とロマン派初期の楽曲演奏をかなえ、幅広い時代のピアノ作品を1台で網羅する頼もしさもありました。モダンピアノと違ってタッチが軽いため華奢で壊れそうにも感じるのですが、実は思い掛けないほどの逞しさも備えており、その意外性に驚きながら明るく繊細な響きの中にフォルテピアノだからこそ描くことのできる作曲当時の表現を模索していました。
数年振りに東京でフォルテピアノを用いて演奏会を開催するにあたって、演目には敬愛する作曲家C.P.E.バッハ、クレメンティ、ベートーヴェン、ドゥシェックの1800年前後の作品を選びました。
ピアノ音楽が目覚ましい発展を見せた時分です。
古典期の流れを辿りながら、フォルテピアノの音色をお楽しみ頂きたいと思っています。
イベント詳細
Program
~C.P.E.バッハ
ロンド ハ短調 Wq.59-4 H.283
ソナタ ホ短調 Wq.59-1 H.281
幻想曲 イ長調 Wq.58-7 H.278
~L.v.ベートーヴェン
アレグレット ハ短調 WoO.53
ピアノ ソナタ 第8番 ハ短調 ≪悲愴≫ Op.13
~J.L.ドゥシェック
ピアノ ソナタ 第13番 ハ短調 Op.35-3
~M.クレメンティ
ピアノ ソナタ ロ短調 Op.40-2
2016年6月18日(土) 汐留ベヒシュタイン・サロン
15:00 開演 (14:30 開場)
チケット ¥4,000 (全席自由) 未就学児のご入場はご遠慮願います。
お問い合わせ : Tel 070-2010-7820
お申込み : E-mail ticket@tsunakosaito.jp
下記内容を記載の上、メールをお送りください。受付後、お支払い及びお受取りについてご案内致します。
(1) 演奏会の開催日
(2) チケット枚数
(3) お名前(フルネームをお知らせください)
(4) お届け先の 郵便番号、住所、電話番号
齋藤卓子 Tsunako Saito
Profile
国立音楽大学及び同大学院修了。
スイス・バーゼル音楽院にてコンサート・ディプロムを取得。
その後、歴史的鍵盤楽器の演奏に興味を持ち、同学院内、スコラ・カントールムにおいて古楽器であるフォルテピアノの研鑽を積む。
2004年、ローザンヌでの古楽器国際フェスティバル(Rencontres Internationales Harmoniques)に招かれ、フォルテピアノのソロ・リサイタルを行い、高い評価を受ける。同年マドリッドで行われた恩師E.トルビアネッリ氏のコンサート(Los siglos de oro)において賛助共演を務め、好評を博す。
その他、バーゼル市を拠点にソロ・リサイタル、室内楽、伴奏などの様々な演奏活動を重ねる中、特に、調律師であり楽器製作者、フォルテピアノのコレクターでもあるG.セン氏の協力を得て、同氏所有のオリジナル楽器によるサロン・コンサートの開催に力を注ぐ。
2005年、9年に渡る在欧生活を経て帰国。
2006年以後、国内では東京、横浜、山形、仙台において、海外ではスイス、フィンランドにおいて、ソロをはじめ四手連弾、室内楽などのコンサートを催す。
近年はサロン・コンサートや音楽講座、0歳より入場できるコンサート、朗読家や墨画家といったジャンルを越えたアーティストとのコラボレーションなど、多彩で独創的な活動を展開している。
これまでにピアノを金井恵、菅野洋子、ダン・タイ・ソン、J.-J.・デュンキ、北川暁子、フォルテピアノをE.トルビアネッリ、J.ゾーンライトナー、G.ランカスターの各氏に師事。
開催日
2016年6月18日(土)