2015年11月2日(月)

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ノアン フェスティバル ショパン イン ジャパン ピアノコンクール開催します

アンリ
第1回「ノアン フェスティバル ショパン イン ジャパン」ピアノコンクールはユーロピアノ招聘ピアニストであるイヴ・アンリ教授が主宰するノアン フェスティバル ショパン イン フランスでの招待ピアニスト、関連する行事での招待受講生を選考するコンクールです。

フランスのこのフェスティバルでは過去にチッコリーニやツィメルマンといった超一流のピアニストが演奏を行っており、2016年には50周年を迎えます。

参加対象は5歳から年齢制限無しとし、コンクール予選はDVD審査、本選は汐留ベヒシュタイン・サロンにて公開コンサート形式で開催いたします。

本選出場者の中から選ばれた方はフランスのノアン フェスティバルでの演奏会や講習会等に参加することができます。

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/nohantfestival2016/

ご挨拶:イヴ・アンリ(ノアン フェスティバル ショパン イン フランス会長)

私は、ユーロピアノが日本で「ノアン フェスティバル ショパン イン ジャパン」としてピアノコンクールを開催し、フランスでの招待ピアニスト・受講者等を選考してノアンへ派遣してくださることに最大の敬意を表します。
日本でピアノのレッスンをするようになって8年以上となりますが、今回この企画に私が携われることも最大の喜びでもあります。
友人である戸塚社長およびユーロピアノの有能な皆様と共に、この「ノアン フェスティバル ショパン イン フランス」が2016年に50周年を迎える節目に華を添えていただくことに感謝し、ともに成功のために努力を続けたいと思います。最後に日本の皆様への感謝の意を込めて。

開催の趣旨:戸塚亮一(ユ―ロピアノ(株)代表取締役)

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たくさんのピアノコンクールが開催され、そこに参加することで益々ピアノ演奏に励むという社会現象は歓迎されるべきことです。その結果に対する表彰として、賞金と名誉が与えられます。大きなコンクールとなると主催者が優勝者に対して「オーケストラと共演出来ます」とか「演奏旅行を企画します」とかの特別な音楽体験を提供することもあります。しかし、商業主義のコンクールが多い中、一方では賞金を増額して応募者を増やし、優秀なピアニストを輩出しようということも見られます。弊社のような小企業が、今までの約30年に及ぶ活動の延長線上にコンクールを開催する意義がどこにあるのかを考えて、今回フランスのイヴ・アンリ氏の協力のもと、第1回の開催の運びとなりました。応募者にとって何が有益でかつ魅力的であるか、特徴を以下3点にまとめてみました。その他のご要望があれば、お申し出ください。

①当コンクールの表彰は、一過性の賞金ではなく、作曲家 “ショパン”という人物と作品を通じて、日本人ピアニストが海外ピアニストや海外からの受講生と、フランスという地で交流を図る機会を提供することを<賞>としております。これは参加者一人ひとりへ “貴重な体験をする機会を提供しよう”という意味が込められております。

②当コンクールで入賞できなかった方々の為に、第2回目のコンクールより希望者を募り「ノアン フェスティバル ショパン イン フランス」の見学ツアーの計画を予定します。(別途有料)またコンクール参加者一人ひとりへ審査員から演奏に対する簡単なコメントをお渡しする予定です。私達はこのような活動を通じて、コンクールの結果に一喜一憂するだけではなく、<本当の>ショパンファン、ピアノファンを育てようと考えております。

③この機会に、日本人が特に忘れがちな、ピアノそのものに関心を持っていただきたいと存じます。ショパン→プレイエル→ベヒシュタインとピアノの持つ個性が影響し引き継がれておりますが、他のピアノにはそれがほとんどありません。その意味も是非、一般教養のひとつとして、習得・実感していただけることを願っております。このコンクールに応募するか、しないかにかかわわらず、弊社・ドイツピアノ製造マイスター・加藤正人の文章をご精読いただければ幸いです。このような事実をピアノの“ブランド志向”の為に人もピアニストも皆、“ブラインド=盲目”になってしまっている現実に警鐘を鳴らしたいと思います。このようにピアノそのものにまつわる歴史を理解してから弾くショパンは、知的好奇心が満たされ、演奏そのものが益々楽しくなることでしょう。

当コンクールでベヒシュタインを使用する意義:加藤正人(ドイツピアノマイスター)

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ショパン存命中に製造されたプレイエルを初めて調律したとき、 その“響きの鮮明さ”に驚かされた。これはエラールや、ウィーン式のフォルテピアノで体感した感覚とは全く異なるものだった。響きが鮮明ゆえ、同時に鳴るそれぞれの音の認識、打弦タイミングのズレが明確に聞こえる。ハンマーの打弦を指先に感じるアクション構造と、響きの鮮明さの両方が、まるで指で弦を直接かき鳴らしているような錯覚さえ覚えさせていることに気がついた。この時「ショパンは体調の良い時にはプレイエルを好み、体調がすぐれない時はエラールを弾いた。」という言葉の意味が理解できた。
プレイエルのヒストリカルなオリジナル楽器でピアノの名手による演奏を聴くと、音楽のダイアログ(対話)が見事に表現されているのが聴き取れる。我々が通常耳にする同じ楽曲の演奏からは認識できなかったダイアログの囁きが、その曲の奥深さを再認識させてくれる。
ショパン自身がプレイエルでの演奏を好んだ理由はここにあるのだろう。“繊細な表現を”という言葉でひとくくりにしてしまうと、そもそもフォルテピアノ全体の響きが繊細な時代の中にあった彼の美意識のポイントに気づきにくくなってしまう。伴奏部分の音の重なりが背景の色彩を作り、その響きの色彩の中に浮かぶ旋律によるダイアログを表現しやすいピアノが間違いなくプレイエルだった。

現代のピアノと比較する意味で、特筆すべきプレイエルの技術的な工夫の中で響板の構造を挙げたい。プレイエルは鮮明な響きを実現するため、響板裏面にブリッジ(表面の)に並行して貼り付けられるメインリブ構造を採用している。当時、この構造も画一的なものではなく、様々な試作がされているが、どのパターンもベースに同じ狙いがあることが観察でき大変興味深い。
この“透明感のある響き”というコンセプトを現代に踏襲するピアノは、ベヒシュタインである。ベヒシュタインの創業者カール・ベヒシュタインは徒弟時代にプレイエルのドレスデン工場で学び、さらにパリでプレイエルの流れを汲む“クリーゲルシュタイン”のもとで修業を重ねた。19世紀半ばのベヒシュタイン設立当時に製造されたピアノを見ると、プレイエルの構造に非常に似ていることが判る。この事からも、ベヒシュタインのコンセプトの源流がどこにあったのかを想像することができ、そして、現代のベヒシュタインの響板も、音圧ではなく、響きの鮮明さを優先させる構造となっている。

今回のノアン フェスティバル ショパン イン ジャパンのコンクール本選でベヒシュタインを使用する理由は、“ショパン自身が意図したであろう、鮮明な響きの中で描かれる色彩のコントラストや旋律のダイアログの表現に審査員は耳を傾けたい。”という意味がある。

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