2016年11月27日(日)

 

panel_1031のコピー

ユーロピアノ株式会社 創立30周年記念エッセイコンテスト」は予想を超える沢山の方にご応募を頂きました。
ご応募いただきました皆様に心より御礼を申し上げます。審査の結果、受賞作品は以下となりました。

受賞作品

秀作2名(賞金5万円とベヒシュタイン記念品)

榎本 広樹さん 「人を結び、文化をつなぐベヒシュタイン」

網倉 皐子さん 「ベヒシュタインと私」

佳作6名(ベヒシュタイン記念品)

杉崎 美和さん 「一音に悩むしあわせ~ベヒシュタインとの出会い~」

堀地 謙さん  「戦中戦後をくぐりぬけて90年」

石飛 劉一郎さん「ベヒシュタイン・ホフマンが拓いた私の生きる道」

市場 啓子さん 「私達家族の一員 ベヒシュタイン!」

青木 茂さん  「ベヒシュタインとわたし」

肥田野 登さん 「ピアノを超えたピアノ~東工大とベヒシュタインピアノ~」

 

募集案内が少なかった中、沢山の応募作品を頂きお礼を申し上げます。審査員の内藤克洋氏(株式会社ハンナ会長・総編集長、株式会社ショパン代表取締役)のご意向でできるだけ沢山出版原稿として採用させていただく予定でございます。またもう一人の上前田氏の感想はここに掲載いたします。「メーカーの立場からも参考になった」という事で嬉しく存じます。出版に際しましては弊社からの原稿を加え、「依頼原稿」も合わせて掲載の予定でございます。少々時間がかかると思いますが、楽しみにお待ちください。

 

 

講評

 

上前田 馨氏(ベヒシュタイン・ドイツ本社 ピアノ製造マイスター)

 

今回この審査をやらせていただき、興味深かったのは、どの方のお話にも当然ながらピアノが登場するのですが、皆さん、まるでピアノにも人格があるかの様に描かれている所です。

 

ピアノは生きている、とよく言われます。

ピアノに限らずですが、殆どの楽器は工場での仕上げでそのピークを迎えるものではありません。

実際に繰り返し演奏され、時間をかけて熟成されて初めてその力を出し得るものです。

ですから、殆どは変化していくもの、といった意味合いです。

 

しかし、一日の仕事が終わり、静まりかえった工場の中で何十、何百ものこれから誰かの”特別”になるピアノに囲まれている時、一種の息遣いの様な、そこには単なる物ではない何かを感じる事があります。

やはりピアノは言葉通り、生を受け、出会った弾き手や聴き手と会話しながらその人達と共に成長していく生き物なのかもしれません。

 

 

我々、生産現場の人間はなかなか一般のお客様との接点がありませんので、個人のピアノにまつわるお話というのを耳にする機会が少なく、審査員という形で参加させていただけた事はとても貴重な体験でした。改めて、家族、人と人、過去と今、を繋ぐ事が出来る特別な物を造る喜びを再確認させてもらえた事に感謝しています。

 

今後も、ピアノが皆さんの良き友であります事を願っております。