ハッと気がつくと、すでにクリスマスは過ぎてしまい、すでに年越しのモードに入ってしまいました。
年越し、トシコシ、なんともいえない言葉の響きです。トシコシ。この時期になると毎年、アメリカのウィスコンシン州のオシコシ(OshKosh、正確にはオシュコシュと発音するそうですが)のトシコシはどんなもんなのだろうかと思いを馳せます。行ったことのない外国の地名って、なんだか夢とロマンと怖れを感じます。
夢とロマンと怖れ。
ベルリン、という街の名も、私にとっては長い間「夢とロマンと怖れ」の対象でした。
ベルリン。
レナードコーエンの歌に「First we take Manhattan」というのがあります。レナードコーエンという、カナダ人の、まことに歌のお上手な詩人がおりまして、本当にもう、これは歌なのか、酔っ払いの詩の朗読なのかというようなレコードアルバムを量産しているのですが、彼の「I’m your man」というアルバムの一曲目がその「First we take Manhattan」なのですが、その歌詞の中に
“First, we take Manhattan.
Then we take Berlin.”
というくだりがあります。
私は、その”Then we take Berlin.”というフレーズを中学3年生の時に聴いた時からベルリンという街はどうも、こう「邪悪な街」なんではないか、「危険な街」なのではないか。「アバンギャルドでデンジャラスな街」なのではないかと勝手に思っておりました。
今回、そのベルリンにも初めて行ってきたわけなのですが、今回はそのベルリンの、怪しい部分について、儚い記憶を頼りに書きます。
ご挨拶が遅れました。こんにちは。東京本社ショールームの佐々木です。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。風邪などひいてはおらぬでしょうか。僕は今日も元気です。
本来であれば、前回ザイフェナースドルフまでの道中について書かせていただいたので、筋から行けば、今回は本命の「工場見学」について書かなければなりません。前回からこのブログを読んでいただいている方も、「工場見学」について早くレポートしてくれと感じていらっしゃるかもしれません。いえ、むしろ、「工場見学」だけ、手短にレポートしてくれればいい。と思って読んでいらっしゃるのかもしれません。
私もこのドイツ旅行、もとい、ドイツ出張に「仕事で」行ってきたわけですから、会社からも、とにかく工場見学についてレポートしてくれと言われております。「ベヒシュタイン工場特別見学ツアー」と題したツアーなので、「工場見学」の部分が一番のキモであるのは間違いないのです。
しかしながら、ワケあって、今回工場見学についてのレポートが間に合いませんでした。
先日、工場見学の際に工場のガイドの方に聞いたことをすっかり忘れてしまったので、工場でガイドしてくれた方に「レポートをブログに載せるので、工場見学の時に教えてくれたことを、もう一度かいつまんで教えて欲しい」とお願いしたところ。
佐々木様
メールをいただきありがとうございます。
工場見学についてレポートを書いていただけるのはまことにありがたいです。
しかしながら、私たちはあなたが工場見学のレポートをブログに掲載する前に、一度目を通させて欲しいのです。なぜなら、なぜなら、もし間違えた内容をブログに掲載してしまうと、ベヒシュタインの商品について誤った情報が流れてしまうかもしれないからです。あなたのブログを拝見し、私たちはそれを一番危惧しました。
なので、正確を期すためにも、掲載する前に一度拝見させてください。
Best Regards.
と、返事が返ってまいりました。
なので、私にできる選択肢は二つのみ。
1つは、レポートの下書きを書いてベヒシュタイン社の校閲を待ち、その後ブログに掲載するか。はたまた、「黙って掲載するか」。
正直者の私は、前者を選びました。黙って載せて、誤った情報が流れてしまうのはまずいからです。それで、本社の方々に迷惑をかけるのは嫌だからです。
しかし、まあ、全部ベヒシュタイン社の校閲を待っていてはいつまでたってもブログを書けません。
なので、工場見学については、ベヒシュタイン社にばれない程度に「小出しにして」、その先を進めねばなりません。
ちなみに、工場の人達は、皆さんとても真面目な方々でした。真面目、といっても堅物という感じではなく、気さくだけれども真剣に仕事に打ち込んでいる、という感じの方々ばかりでした。
こういう、ストイックな方々ばかりでした。
こういうふうに、仕事に真剣に取り組んでおりました。
こういう人たちが、毎日一生懸命働いて、大部分を手作業で、1日ごく数台のみ生産しております。
この敷地で(荒川区第六瑞光小学校4つ分ぐらいの敷地があります)、これだけの人たちが働いていて、朝早くから夜まで2交代制で働いて(朝は5時ぐらいから稼働しているそうです)、
たったそれだけしか製作できないのか!?
というような、台数を一生懸命作っておりました。
詳しい話は、後日。
それで、話は戻って、旅程を先に進めて、ベルリンです。
ベルリンは、本当に「アバンギャルドでデンジャラスな街」なのか。そんな、西城秀樹とレニリーフェンシュタールを掛け合わせたような街なのか。
実際に行って検証してきました。
その結果、
誤解を恐れずにいうと、やっぱり、レニリーフェンシュタールと西城秀樹のような街でした。
まず、上の写真。
これは、ベルリンの楽器博物館で見かけた楽器です。鍵盤楽器です。気味の悪い、鍵盤楽器です。このページの一番上の楽器も、気味の悪い楽器です。鍵盤楽器です。気味の悪い、鍵盤楽器です。
どちらも、ベルリンフィルハーモニーホールの横にある「ベルリン楽器博物館」というところで見かけました。
「ベルリンに行ったら、絶対に楽器博物館は行こう!!」と、ドレスデンにいた時からツアー参加者の皆さんと話しておりました。ツアー参加者10名のうち7名がベヒシュタインの正規代理店からのお客様、3名が一般のお客様です。皆さん、「ピアノ工場見学ツアー」に参加されるぐらいの方々です。よっぽどの楽器好きか、よっぽどのピアノ好きな方の集まりです。そういう私も、楽器が好きです。
楽器が好きで好きでたまりません!会社で日がな一日楽器について思いを巡らせ、帰宅し毎晩楽器を愛でて(大して弾けもしないのに)、まだ見ぬ欲しい楽器を日夜探しております。
音楽も好きです!今は、フラメンコギタリストのビセンテアミーゴを聴きながらこのブログを書いております。オペラから演歌まで、好き嫌いは激しいですが、なんでも聴きます!
そんな私たちです。「楽器博物館」は絶対に押さえておかなければならないスポットです。ベルリンの、一番の観光名所ぐらいに思っておりました。
それで、行ってまいりました。
そこで、上記の楽器に出会ってしまったのです。
なんとも気持ちの悪い鍵盤楽器。いったいどんな音がするんだ?いったい、鍵盤の感触はどんななのだろうか?とても気になります。気になって気になって、未だに夜も眠れません。
「あー、あれ、買って帰ってこればよかった」
と、夢でうなされるほど気になります。
この、気になるところを、一歩先に進んだツアー参加者の方がいらっしゃいました。
なんと、その誘惑に勝てず、楽器博物館でこの楽器の鍵盤を押してしまったのです。
「ポワァ〜ん」
という、「えもいわれぬ音色がした」と後述しておりました。
案の定、すぐに楽器博物館のスタッフの見張り役の人が飛んできて、たっぷり怒られたそうです。皆様、博物館では展示物にお手を触れぬよう、お願い申し上げます。
ベルリンという街は、上に写真を掲載した2台の楽器に全て集約されている気がします。
「アバンギャルドで、デンジャラス」
こういう、気味の悪い管楽器もありました。serpent(セルパン)という、チューバやユーフォニウムのような楽器だそうですが、どんな音がするのか、とても気になります。
ベルリン楽器博物館で一番気に入ったのは下の写真の楽器です。
ツィンク(Zink)、という金管楽器(中国語でいうラッパ)の祖先のような楽器なのだそうですが、すごく欲しくなりました。これから、継続的に探そうかと思っております。
ああ、忘れてはなりません。
もちろん、ベヒシュタインもありました。
ネオ・ベヒシュタインすら、ありました。
ああ、つい長くなってしまいました。
詳しい話は、また今度。