ノアンフェスティバルショパンインフランスその2

2018年3月11日(日)

2016年に開催した第1回ノアンフェスティバルショパンインジャパンピアノコンクールで入賞された方々の体験レポートの第3弾で最終回です。

最後にご紹介しますのはB3部門第2位そして、ノアンパスポート賞を受賞された鬼頭久美子さんによるレポートです。

「ノアン フェスティバル ショパン」は毎年6月から7月下旬にかけて、フランスのベリー地方ノアンで行われている音楽祭です。アルド・チッコリーニが創設し、2011年からはイヴ・アンリ先生が会長を務められております。

音楽祭ではピアノリサイタルだけではなく、朗読とピアノのコラボレーションやこの地方の民俗音楽の演奏のプログラムもあります。

フェスティバルについては過去ブログのこちらもぜひご覧ください!

「ノアン フェスティバル ショパンについて」 /kouho20151115/

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パリのオーステルリッツ駅から南に2時間ほど列車に乗ってシャトールー駅に到着。そこから更に車で1時間ほど田園風景の中を走ると、そこはまるでタイムスリップしたような、昔のままの建物が残る可愛らしい町が見えてきます。そこがノアン村…ショパンとジョルジュ・サンドが過ごした村です。一旦そちらを通り越して、目的地はノアン村からほど近いラ・シャートル。

 

ペンション風のこじんまりとしたホテルに着き、先に現地入りしていた通訳の大倉先生とお会いしました。今から始まる5日間の打ち合わせです。ラ・シャートルの劇場でのアンリ先生マスタークラスや、ショパン研究家が様々なテーマでレクチャーする講座について、また、ノアン村で毎晩開催されるコンサートについて説明を受け、町を案内して頂きました。

 

楽しみで仕方がなかった一週間のスタートです。何故そんなに楽しみなのかと言うと、コンサート出演者がとても魅力的!ダン・タイソンや、ちょうどショパンコンクールの年でしたので入賞したばかりのシャルル・リシャール=アムラン、エリック・リュー、そして2003年に引退した奇人天才ピアニスト、フランソワ=ルネ・デュシャーブルなど!

初日の演目は俳優アラン・カレイ氏とデュシャーブルの朗読&ピアノでした。フランス語の朗読なので完全には理解できませんが、それでも圧倒的な存在感、表現力に加え、驚くほど自由で完璧にコントロールされたピアノとの素晴らしいコラボレーションに鳥肌が立ち、大興奮。これは一体何なんだ!と、大きな衝撃を受けたことを今でも鮮明に思い出します。

翌日からは、美味しいクロワッサンとコーヒーで朝食を取ったらすぐにお散歩がてら町へ出かけ、ノアン賞を受賞された松田彩香さんが奮闘するマスタークラスを聴講したり、ショパンの作曲法や手についての講座に参加したり、合間にチーズを買ったり、ランチには美味しいレストランでフレンチを堪能したりと充実した日中を過ごし、更に夕食後にみんなでピアノリサイタルに出かけるという音楽三昧の日々を過ごしました。こんなに毎晩ピアノ曲ばかり聴くという機会もなかなかありません。弾く人によってこうも違うのかと。音楽表現の幅広さ、自由さを知りました。

また、演出も工夫されており、毎日驚きの連続!ジョアン・ピリスのサプライズ登場や、週末の夜は夜間散歩というものがあり「何だろう?」と思っていたのですが参加してみると、アッと驚く仕掛け盛り沢山、そして特筆すべきはショパンも見たであろう満天の星空。それはもう他に何も要らないと思うほど美しく、言葉を失いました。

 

ここで過ごした時間は、まだまだこれで語り尽くせるものではありません。実はノアンパスポート賞を頂いた当初は、スケジュール的に参加が難しいかなと考えておりましたが、無理をしてでも参加させて頂いて本当に良かったです。

最後になりましたが、このような大変貴重な経験を与えて下さった株式会社ユーロピアノ様、現地でお世話になった大倉先生、白川様、石井さん、松田さん、ノアンフェスティバル関係者様、アンリ先生、そして渡仏への理解を示してくれた家族に心より感謝の意を表したいと思います。