「愛のピアノ」

2024年5月9日(木)

 

『魂のピアニスト』と呼ばれた(誰が言いだしたかは知らない)フジコ・ヘミングが先日亡くなりました。自分が技術研修生だった頃、「フジ子ちゃん(自分たちは親しみを込めてこう呼んでいました)がベヒシュタインを弾いた翌日は、必ずピアノが売れた」と聞いたことがあります。その演奏に皆心を揺さぶられました。

それだけに、彼女の弾くラ・カンパネラは彼女の代名詞ともなり、皆それを期待し聞くことが当たり前となっていきました。本人はおそらく『魂の』云々は意に介してなかったと思いますが、世間は何かとイメージでくくりたがります。

 

さて、『○○のピアノ』と聞いて皆さんはどんなイメージを持つでしょうか?本日齢50を迎えた私が、「○○のピアノ」と聞いて思い浮かぶイメージをこれから少しつづってみたいと思います。

第1回『愛のピアノ』

今だと「AIのピアノ」と変換されてしまうかもしれませんが、自分は真っ先にF.リストの「愛の夢」を思い出します。三曲あるうちの第3番ばかりが有名ですが、1番、2番を聞くと、そりゃそうだろうなと思います。

出だしの6度音程はずばり「愛」を表しています。ぱっと譜面を見て何調かわかりませんが、♭の多いあの響きは、出だしを聞くだけですぐにわかります。

他にもシューマンのトロイメライ、ショパンの有名なノクターンの出だしも6度音程です。愛らしい、好きだなぁという気持ちが込められています。

音で気持ちを表しだしたのはロマン派以降かな?と思ったのですが、いやいやバッハのカンタータなどでも不協和音で不安定な気持ちを表したり、調性により様々なイメージを作り出しています。(もちろんこの場合言葉も伴っていますが)バロック以前からなんだろうなと思います。

 

今のピアノはほとんどが平均律という音律で調律されます。それでも調性によるイメージ、感覚はあります(不思議ですね)。たまに古楽器などで不等分律を聞くと、ピッチの差異もありますが、かなりその響きが新鮮に聞こえます。

 

皆さんにとって「愛の響き」は何調でしょうか? シューマンのヘ長調?、ショパンの変ホ長調?、リストの・・・何調?(調べておきます)

もちろん演奏はJ.ボレのベヒシュタインで。

とりとめのない文章となりましたが、第2回は『いつものピアノ』について思いを巡らしてみたいと。出だしの音を五十音でそろえてみようかな。

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