クレモナの名器に喩えられるピアノ-C.BECHSTEIN

2022年2月20日(日)

 

以前弊社のオウンドブログに掲載したものをこちらに再掲載いたします。

「クレモナの名器に喩えられるピアノ」 2021.04.17

『ベヒシュタインは、ピアノにおけるストラディヴァリウスやアマティである』、この表現でベヒシュタインがどういう楽器かを想像できる方は、クラシック音楽をよく聴いている人だろうか? 大ピアニストで指揮者でもあったハンス・フォン・ビューローが言ったとされるが、ストラディヴァリウスやアマティを知らないとベヒシュタインがわからない、というこの言葉に20年前、調律の専門学校に入ったばかりの自分は、ぜひその音を聞いてみたいと思った(当時、身近にベヒシュタインを展示している店はほとんどなかった)。

クラシック音楽を聴くのが中学生から趣味だったので、ストラディヴァリウスやアマティが、約350年前のクレモナで製作された弦楽器の超がつくほどの名器ということは知っていた。

つい先日もテレビで一挺数億円というストラディヴァリウスの話が出ていたし、年始に恒例となりつつある芸能人格付けチェックでも、ストラディヴァリウスと無名の楽器の比較がされ、その音色を聞き分けられるかが「格」に影響すると。

楽器は、そのものの価値はもちろん重要だと思うが、いかにそれを演奏するか、どういう演奏ができるか?ということの方が実際は重要だ。現にアマチュアとプロが同じ楽器を演奏した時にできる差に、唖然とすることがしばしばある。

話しが逸れたが、このビューローの言葉は、ベヒシュタインがピアノという楽器において、ストラディヴァリウスやアマティに匹敵するような素晴らしいものだということと、弾き手によって様々に変化する(できる)楽器だということも意味しているのではないか?と思う。

「弾き手が音色を作り出すために、透明感のある音色作りにこだわり、ピアノの各セクションの音に変化を持たせ、音楽を立体的に組み立てやすい」と私はお客さんに説明しているが、実際自分でそれができるのか?と言われるとなかなか難しいものがある。ピアニストやよく弾く人であれば、この説明で「なるほど」と納得されることも多いのだが、初めて弾く方、聞く方などには、こちらが示さねばならない時がある。バロック音楽のポリフォニーの曲(個人的にはJ.S.Bachのインベンションやシンフォニア、そしてフーガ)をベヒシュタインで弾くと、他の楽器よりも各声部が独立して聞こえるように感じる。フーガのいくつもの声部を完全に意識して弾き切った時の快感は、なかなか他に替えがたいものがある(おいそれとはできていないが)。

普段の練習からベヒシュタインを弾いていると、いろいろな音を聞き分けられる「耳」を持つことができるようになります、とお客様に話している。

爆音、轟音がとかく注目されがちな現代、限りなく小さいpppppp.(ピアニッシシシシシモ)を弾き分けられ、表現できるようになります、とお客様に話している。

ベヒシュタイン以外の楽器を弾く時も、その耳の力は発揮され、その楽器での最高のパフォーマンスができるようになる、

と個人的に思っている。

幸いなことに、今はベヒシュタインを見て聞いて触れられる機会が増えたので、ご自身で試されることを是非おすすめします。

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