2009年1月27日(火)
自分はフランスには住んでいた事がないし、メーカーの関係以外には技術の師匠がいるわけでないので、その背景が理解しきれていない部分もあると思う。が、いつもドイツの律儀な正確さとは違う丁寧な感じを、19世紀・20世紀前半に製作された楽器を前にすると感じる。
プレイエルで戦前人気のあったモデルF、それもローズウッド仕上げの逸品が現在世田谷の千歳烏山ショールームにある。
本当に甘くて明るい音は、ドイツのピアノとは対称的でどこか気障な印象を響きの中に受ける。
八王子工房にも同サイズのローズウッド仕上げピアノがあるが、こちらの響きは少しドイツっぽさを感じる。
このピアノは85鍵だが、弦が「一本かけ」 になっている。則ち、弦は通常二本一組にループで張られているが、ユニゾンを構成する三本の弦がこの場合独立してる訳だ。
「一本かけ」だと単音を弾いた場合隣接する弦への振動伝搬が少ないので、単音は律儀な感じになる。一世代前の、まだフォルテピアノと呼べる時代のピアノは、プレイエルもベヒシュタインも含めこの弦の張りかたである。
ところで、このプレイエルのモデル名は3bisと言うそうだ。