今月の1枚 Dezember 2023
眠れない夜のバッハ

2023年12月19日(火)

 

 

自分のベヒシュタイン録音はこの1枚から始まった(と言ってもいいでしょう)。マティアス・フックスの弾くJ.S.BachのGoldberg Variationenです。ユーロピアノに技術研修生で入所した当時は、この録音しかベヒシュタインの販促用CDはなかった気がします。

斬新な駒付近と裏は響棒?のジャケット。モノトーンで仕上げられて、センスいいなぁと今でも思います。演奏については、あまり詳しくは自分はわかりませんが、以前いた音大卒の同僚は「実にいろいろなことをやっている、しかもかなりアグレッシブに」と話していました。変奏曲の様式がいろいろあり、さらに楽譜もいろいろなバージョンが出版されているので、どの版をどの変奏で採用しているのかなど、マニアックに聞くとさらに面白いのかなと思います。

今はだいぶお年を召したのではないかと思いますが、フックス氏若いですね(このジャケット写真はS社のピアノではないか?と思いますが)。以前は何度も来日し、レッスンやレクチャー付きコンサートをしていただきました。彼の紹介でドイツに留学した学生も多かったのではないかと思います。

カイザリング伯爵のためにバッハが作ったとされるこの曲、グールド以来あまたの録音が毎年出ていますが、チェンバロ、オルガン、弦楽器、金管楽器など使われる楽器も様々あり、バリエーションが楽しめます。ピアノもソロだけでなく連弾バージョンもあり、聞いていたらよけいに眠れなくなるでしょう。原点に戻るという意味で、一年に一度は必ず聞いている1枚かなと思います。新しいD282でまた誰か録音してくれないかな?(もう録音していたらごめんなさい)

2年間続けてきた今月の1枚シリーズ、とりあえずこれで終了とします。来年はまた違うバージョンを考えていこうと思います。

 

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