2009年12月23日(水)
先週土曜日、塙保己一(はなわほきいち)にちなみ、身体的なハンディキャップを持つにもかかわらず、社会的に顕著な活躍をしている方を表彰する式典が、塙保己一の出身地の埼玉県本庄市で行われた。
今回、ピアニストの梯剛之(かけはしたけし)さんが奨励賞を受賞され、その受賞記念コンサートのピアノにベヒシュタインが使用されることになり、調律の仕事で現地に伺った。
前回の梯さんとの接点は、杉並公会堂でのリサイタルの本番だけであったが、先週の仕事ではリハーサルから立ち会うことになった。リハーサルでは、ただただ彼の創造時の集中力に感嘆する他になかった。
リストもショパンもすてきだったが、彼の奏でるBeethoven Piano Sonata No.20/ Op.49 NO.2は、まさにフォルテピアノの響きを彷彿させ、丁寧であり、しかし生き生きと優しく語りかけられているようだった。彼からベヒシュタインを通じ解き放たれる音楽という衣をまとう精神が心に直接届くようで、不思議な感覚さえ覚えた。
又、梯剛之さんと仕事をさせていただく機会がある事を願う。