2013年12月14日(土)
大田区山王の閑静な住宅街にあるサロン
山王オーディアムは、都内だが樹木の覆いに守られる中にサロンがある。
窓ガラスから入る木漏れ日がなんとも気持ちいい。
ここには、常設のスタインウエイB型に加え、オーナーの武藤さんが父親からプレゼントされたベヒシュタインL型が置かれている。
今回、「かおり’s カフェ」という萩原かおりさんの声楽コンサート(ミュージカル)広森アケミさんの伴奏でベヒシュタインが使用されると言う事で調律のご依頼があり訪問した。
このベヒシュタインは、ユーロピアノ(旧社名タイヨー・ムジーク・ジャパン)がベヒシュタイン総代理店を始めた1987年以前に輸入されたピアノで、銀座のヤマハでご購入なさったという。
音大を卒業し何年もご使用され、その内サロンを経営なさる事になり、ベヒシュタインをサロンをご利用される方々にも使っていただこうと、オーバーホールをしてご自宅から運び入れたそうだ。
もう二年程前になるが、ショパンの命日に、ここで遠藤郁子さんのリサイタルがあり、スタインウエイとベヒシュタインの2つのピアノが使用された事があった。異なった響きから得られる違いを効果的に利用された素敵な演奏だった。
サロンの場合、音量を追及するか、主旋律では無い部分に隠れる色彩に静かに耳を傾けたいか、で楽器のチョイスを変えることができる。
自分も以前は大型のJBLからパワフルに流れる迫力に圧倒されることを“常に”良しとしていたが、デジタルが発展する程に響きの中に浮かぶ小さな対話への価値を感じる事が多くなってきた。
二者択一ができるサロンは東京と言えどまだ決して多くない。