2011年10月23日(日)
昨日のリストの200回目の誕生日へのオマージュとし、今回の八王子工房コンサートはリスト編曲のベートーベン第9だった。
いつも、この工房コンサートをやっていただく末永匡さん稲岡千架さんによる、楽曲解説を含んだデュオコンサートだった。
楽譜をひもとく能力があると作曲者や編曲者の意図した事への理解が比較的容易だろうが、自分のような凡人にはなかなかそれは難解である。
しかし、今回のレクチャーでは、映像やオーケストラのVTRも交えながら、難しい事を大変わかりやすく楽しくひも解いてくれた。
美術館などでも、解説を読んだり聞いたりすることでその作品に対する感心が強くなると言う経験をするが、それと同じような体験がレクチャーコンサートではできる、と言う事だ。
リスト自身もベートーベンの創作に対し敬意の念を抱いていたに違いない。
だからこそその創作を、緻密と言っても過言ではない程丁寧にピアノ譜に置き換えたんだ。と、感じた。
そして何よりも、演奏者がそれを咀嚼しパフオーマンスすれば、ピアノの響きの立体感の可能性が無限とも言っていい程広がる事を実感できた。
リストと言うと、ハイテクニックなパフォーマンスでヨーロッパの貴婦人達を熱狂させたハンサムピアニスト。という印象が先行するが、彼の響きの造形への熱意を末永さんと稲岡さんのお陰で理解できたような気がする。
リストの200回目の誕生日にふさわしい内容だったと思う。
末永さん 稲岡さん ありがとうございました。とても素敵な時間でした。