流派

2010年9月19日(日)

ずっと情報発信している事の一つに、フォルテピアノ製造流派の話がある。古典派時代~ロマン派時代のヨーロッパのピアノは、製造流派により個性が違っていたという事だ。
地域による音楽の嗜好、又、社会の変化による需要変化から生じた流れだが、二大潮流として“南ドイツ・ウィーン派”と“フランス・イギリス派”の製造流派が存在している、と捉えられる。

今更何を、と言われるかもしれないが、現在弾かれる多くのピアノ曲は、この時代に作曲された物だ。
現代人は、街頭や、テレビ等から溢れ出す画一的なデジタルの音源の中での生活を余儀なくさせられている。だから尚更自分もその違和感を感じているのだろうが、普段聞いているクラッシックのパフォーマンスに、疑問を抱かれる方は少なくないのではないだろうか。

今回、1819年に設立された、ザウター(Sauter)の6代目社長が久しぶりに来日してくださった。
ザウター社長の来日を機に、会社が保有する1830年頃に製造されたローゼンベルガーのオリジナル楽器を用意し、今作られるザウターピアノと比較検証するレクチャー・コンサートを、一昨日と昨日の二日間、東京世田谷の烏山ショールームで行った。
南ドイツ・ウィーン派を祖にするザウターピアノが、当時のアイデンティティーの要素をいかなるコンセプトで承継するか。について、音楽的な精神面と製造技術面、双方からのアプローチだった。

Rosenberger

ピアニストは10年来親しくさせていただいている、井谷佳代さんにお願いした。
井谷さんは、オランダでフォルテピアノの演奏も勉強されていて、モダンピアノとフォルテピアノ両方の楽器を綺麗に響かせてくれた。音量を大きくしすぎない演奏は、一つづつの音のバリューを高め、丁寧なフレージングと内声と外声のバランスは、ppやpである程音楽を濃厚に感じさせた。
先に述べた、デジタル音源から放出される軽薄な音からは、全く想像できない響きのパフォーマンスだ。

Sauter & Rosenberger at Euro Piano (Japan)

こうして楽器を並べ、小さな音の中での双方の抑揚に神経を集中させると、響きのコントラストの美しさの類似点を認識できた。
ザウター社長の言う、現代に残したいアイデンティティーの要素について、自らも又、新鮮な発見ができたイベントだった。

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