2009年12月9日(水)
うちの会社では、ピアノの納品後の調律を納品後三週間程度経過してから行う事にしている。
出荷前に時間をかけ整備するので、納品設置時のピアノの状態は、略問題ない。なので環境に順応し、ある程度変化を出してから調律をしたほうが、その後の安定が早いという理由でそうしている。
ピアノは、運搬の振動での狂いはほとんどない。例えば、ドイツから空輸する場合、梱包の状態が良ければ開けた時はそのまま問題なく演奏できる。しかし、日本の空気になれてきた一週間後には別の楽器のようになる。
同じような事が、納品後の各家庭の異なった環境の中でおきる。
今日は千葉に約一月前に納品したベヒシュタイン Lの納品後の調律に伺った。
リビングから離れた二重窓のレッスン室におかれているので、工房と環境が似ているのか、納品後にしばしば体験する大幅な狂いがなかった。
調律しながら、スタインウェイの技師のモア氏が
「冬、コンサート会場に持ち込んだピアノが、まるで冷凍庫の中から出された如く冷えきり、調律をしないでホロビッツと二人でピアノを抱え暖め、なんとかコンサートを乗り切った事がある」
と言っていたことを思い出した。
来週末に八王子工房からベヒシュタインフルコンサートピアノを本庄市のホールまで運び、梯さんのリサイタルに使用するが、冬場の運送+ステージの照明は調律師泣かせだ。