試行錯誤の先に

2022年3月15日(火)

 

以前弊社のオウンドブログに掲載したものをこちらに再掲載いたします。

「試行錯誤の先に」 2021.06.27

「ベヒシュタインは、ほぼすべてが試作品と言ってもいいんだよね」と、社内でよく話しになります。その意味は、常により良くしようという考えに基づき、1台1台が同じモデルであっても少しずつ違いがあり、それが個性であり、必要なものと認識されているということです。そして、「楽器はコミュニケーションツールだから、他人のものと同じであってはいけない」ということも合わせてよく聞きます。

しかし大量生産する場合は、それぞれに個体差があってはだめで、同じレベルで同じものを作ることを目指します(同時にコストダウンも)。日本においてピアノ作りは、いつしか個体差をなくし、同じものを大量にという考えになっていました。

ベヒシュタイン・ホフマンの年間製造台数は、現在先の世界大戦前のそれに迫りつつあります。個人的に懸念していることは、製造台数が増えていくに比例して、楽器のレベルが下がっていかないか?ということです。

「Made in Japan」は世界で高品質というイメージを持たれていますが、日本において「Made In Germany*」はそれ以上に高品質、いいものだという認識があると思います。だから価格が高くても納得して皆さん購入されると思います。しかし同時にそれに対する期待も大きく、もし期待が裏切られた時のダメージもより大きいということも覚えておかないといけません。

*ピアノも「100%ドイツ製」を謳うメーカーがありますが、実際はそのトップモデルのみドイツ製で、それ以外のモデルは他国製、もしくは他国の部品を多く取り入れている、ということがほとんどです。

モノづくりにおいて日本人は、手先が器用で非常に細かい作業が得意、細部まで目を配ります。その才は商品を生み出す時はもちろん、自身が何かを購入する際にもいかんなく発揮されます。特に細かい部分の仕上げなど、その商品の使用や用途にはほぼ影響がないという箇所にまで厳しく目を光らせます。それが非常に高価格で長く使うものという場合にはより厳しくなります。(かなり偏見でしょうか?)

ドイツの製品は、デザインなどは武骨で粗っぽいところもあるが、質実剛健、安全安心というイメージがあり、実際そうだと思います。(これもかなり偏見でしょうか?)

私たちはベヒシュタイン、ホフマンに対しても当然ながらそういうイメージ、期待をしているわけで、もちろんそこはクリアしていると思うのですが、モデルや外装、仕様変更の際に少し期待を裏切る場合があります。もちろんその期待値が大きいので、満足度のハードルは非常に高いとも言えます。良くなった部分はもちろん評価をして継続を期待しますが、そうでない場合、これでは日本のお客さんは納得しないとメーカーへ報告して改善をお願いしています。そういったことの繰り返しが、楽器としてはもちろん、商品として常に高い位置での品質の保持・向上を支えていると思っています。

独自性や革新性をとるのか、安心安全をとるのか、どちらもあるのが望ましいのですが、そのバランスがとても微妙です。楽器としては前者が多くを占める方が面白い、個性があるとされ、後者が多いと没個性的などと評されます。ピアノは民族楽器という観点で私たちは扱っていますので、ヨーロッパの文化・歴史や気候風土にも関心を持ち、ただ「ピアノを弾く」だけでなく、「音楽を弾く、楽しむ」ということを広めていきたいと考えています。

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