全日本ピアノ指導者協会 PTNA(ピティナ)さんと、杉並公会堂にベヒシュタインを納品以来、お付き合いしている。
杉並公会堂を舞台にする、ステップというピティナさん主催の行事に協力、という形での関わりが最も濃い感じだ。
ステップは、人前で演奏をし、3人の先生から総評をもらい、自分のピアノ演奏のレベルを上げる励みになれば。という趣旨で行なわれている。
杉並公会堂のステップでは、ベヒシュタインが弾けると言う事で参加される方もいらっしゃるし、チェンバロ(今回は、J.H.Silbermann スピネットのレプリカドイツ・ノイペルト社製)も、何度か提供させていただいているので、同じ曲をチェンバロとピアノと両方で試したいからと言う方もいらっしゃる。
今回は、2台ピアノのデュオという選択肢も入ったので、スタインウエイとベヒシュタインのデュオでのアンサンブルも楽しめた。
(のだめで有名になったモーツアルトの2台の為のピアノソナタ K.v. 448 が人気だった)
遊び心で参加する事を楽しめるという意味で、他に例があまりない、良い企画だと自分は思っている。
ピアノの先生にとっても、完全に個性の違うピアノでのデュオや、チェンバロとピアノの比較ができる機会を、生徒さんに与えられる事も決して多くないので、この企画故に、積極的に生徒さんに声をかけて下さった先生も多くいらっしゃったようだ。
以前は、
「アーティキレーションをチェンバロとピアノで変えてみたので聞いてください。」
とクープランを演奏された、趣味でピアノを嗜む女医さんが参加されたりした。
音楽的な解釈は様々あるだろうが、spielen = playの言葉通り、楽器で“遊ぶ”と言う大原則をその女医さんのように忘れたくない。
そして、楽しさがベースにあれば、楽譜に書いてある奥を読むとか、解釈について考えてみる、とかも、苦痛ではなく本を読み解くように楽しい事になる筈だ。
でないと、何の為にピアノを弾くのか本末転倒になってしまう。
小さなお子さんも多く参加していたが、おもちゃで遊ぶようにピアノで遊ぶ気持ち、レゴを複雑に組み立てるように、遊び方を覚える動機付けになってもらえれば、という気持ちで昨日、今日と2日間お手伝いさせていただいた。