ベヒシュタインの録音 
サロンでの出来事から思うこと Vol.5

2020年9月22日(火)

 

先日ピアニストの長尾洋史さんが、汐留ベヒシュタイン・サロンにてコンサートを行いました。フルコンサートグランドを弾くほかに、アップライトでもドビュッシーを弾くという企画。普段アップライトはあまり調律において高音のオクターブを広くは取らないのですが、コンサートの時は少し高くした方がきれいというセオリーに従い今回高めにとります。そのせいかどうかはわかりませんが、本番はよく響いていたと思います。そして素晴らしいアップライトの魅力もお客さんに伝わったのではないかと思いました。

その時、長尾さんが昨年新潟県の小出郷のホールで録音したCDを買いました。ベヒシュタインENで録音したのは「ゴルトベルク変奏曲」(もう1枚ドビュッシーの前奏曲集もあります)。さっそく聞いてみました。今週末に「古典調律のモダンピアノでアリアを弾く」という自分企画があるので、その予習も兼ねて。

 

 

テーマのアリアは早めのテンポで進みます。録音マイクの位置によるのだと思いますが、ピアノより少し上の方で録っている、ホールの隅まで音が届いている、空間を感じる音録り。時折チェンバロのような乾いた響き(長尾さんの強靭な指の力から出ていると思われる)、これを分離感というのか?とベヒシュタインだなとはっきり思わせる録音でした。すぐ2回目も聞いてしまいました。新しい設計のベヒシュタインだとM.Fuchsの演奏があるので、どう響くのか?と比較もしてみたくなります。

ライナーノーツも曲の説明は省かれ、この名曲をとにかくピアノで弾きたいという気合のようなものが感じられました。この曲は睡眠を促進するために書かれた(弾かれた)と言われますが、この演奏ではそういうことはないですね。

来年はアルベニスの「イベリア」全曲録音予定、コンサートでも第4部の3曲を弾いていただきました。歯切れの良さはベヒシュタインに合うなぁと。グラナドスなども合う気がする、といろいろと考えを巡らせてしまう。時折サロンではこういうことがあるので楽しいですね。

 

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