2021年1月21日(木)
“Il conviendrait de ne composer de la musique pour piano que pour le Bechstein.”
「ピアノ音楽は、ベヒシュタインのためだけに書かれるべきだ C.Debussy 1913年4月」
まさにこの1913年に作られたピアノが、汐留ベヒシュタイン・サロンに展示中です。
当時の響き、そして外観にもこだわって修復しています。外からこのピアノを見つけて引き寄せられるように店に入ってくる方もいらっしゃいました。今や希少なローズウッドの仕上げ、透かしの譜面台、通称だるま脚と呼ばれる脚やペダルに至るまで、その美しいたたずまいはロビー内でも目をひきます。
サロンには新しいベヒシュタインももちろん展示していますが、比較してみるとその響きは一目(耳?)瞭然、「違う!」とどの方もおっしゃいます。普段ピアノと言えばどれも同じと思っていらっしゃる方にもぜひ弾いていただきたいです。100年以上前のドビュッシーが生きていた、そして弾いていた時代のベヒシュタインです。
鍵盤数が85で、今のスタンダードなものより3音足りないと、弾くことすらしない方もいらっしゃいますが、ひとたびその象牙の鍵盤に指をのせると、その吸い付くような感触に「もっといい音を、もっときれいな響きを!」という思いがあふれてきます。