Tonmeisterの録音研修

2019年9月1日(日)

先日調律師協会の研修で、講師にドイツ(デトモルト)でトーンマイスターの資格を取った金井哲郎さんを迎えて、録音技師の仕事、そして現場で録った音をどのように編集するのか?など講義を聞きました。

そもそもトーンマイスターというものを単なる録音技師と考えていたので、その内容は驚きとともに演奏者と一緒に音楽を作る人なのではないか!と研修後は充実した気分でいっぱいでした。

室内での録音、チェンバロとピアノ。マイクの種類説明、セッティング、その位置修正。

参加者もそれぞれマイクをセット、録音機をセット。その特性なども説明がありましたが、私はほとんどついていけず、ただ圧倒されていました。CDで音楽を聞くのが好きで、よく録音場所や録音年月日を見てはいましたが、本当にただそれだけ。100年以上の録音の歴史も知らなければ、録音業界の現状もよく知らない。かろうじて知っているマイクのメーカーやレコードレーベルの名前をつなぎ合わせて話を聞いていました。

チェンバロの録音を始める。そこでトーンマイスターは、楽譜を見ながら、演奏者に指示を出しつつテイクを重ねます。後で聞くと、このスコアリーディングも瞬時にできるように勉強しているのだとか。さらには楽器もヴァイオリン、ピアノ、チェンバロ、管楽器、指揮も勉強しているのだと聞き、感嘆するしかなかった。演奏者のミスを探し、演奏法にまで踏み込み、最善のテイクを録っていく。通常は別部屋でマイクを通して行われるやり取りを見ることができて、非常に興味深かった。

2日目はトーンマイスターの学校カリキュラム、そして録音音源の編集作業。いろいろな雑音を消したり軽減したり、演奏も自然につなぎ合わせたり。録音作業の妙を垣間見ることができました。

数年単位でどんどん機材も進化改良されています。奥が深すぎて自分は本当にその表面だけを見ただけですが、今までの録音エンジニア、プロデューサーというものを見る目が変わった瞬間でした。金井さんはBISなど有名どころのレーベルの録音にも参加しているとのことで、今度CDを探してみようと思います。(フィンランドのAhoの協奏曲録音に携わったと聞きました)単一楽器だけでなく、オーケストラのスコアも読み込んでいくのはなかなか大変だと思います。すでに音源がたくさんある曲ならばいざ知らず、初演とか新曲とかだと大変さは想像を超える。

2日間の研修は、知ることがたくさんあり、かなり容量オーバーではありましたが、普段と少し違う分野の話は刺激的でした。録音機器メーカーの名前もいくつか覚えたので、いろいろ調べてみようと思います。ゆくゆくは購入してみたいですが、編集作業が、、、。深入りするには深すぎる分野ではあります。