Pause

2009年1月2日(金)

何処かに家族で旅行!という休暇でなく、年末年始は家で休息しながら過ごしている。故に、Vacationで無くPauseなのだ。と言う事で、つれづれなるままに。。。

何処かのバカな政策のとばっちりで、本当に驚くような変化を実感しながら昨年末は仕事をした。自分は88年に始めて日本円をドイツマルク等のヨーロッパ通貨に交換し、以来、対ドイツマルク→対ユーロの為替レートに、少なからず影響を受けながら生活をしてる。特に、財テクと言う意味で外国為替を扱っているわけでないが、生活の場所が変わり必要なお金を交換したり、その逆があったり、そして会社は、ドイツ、フランス、(昔はイタリアも)のピアノを仕入れ、日本で販売するわけなので、円建て仕入れ価格が為替の変動と共に変動し、会社収益に直接的な影響があったり、輸入にかかる経費もガソリンの価格変動と共に変化したり、規模こそは小さいが、今、世間を騒がせている荒波に(を)、乗ったり、かぶったりの20年を送ってきた。
この急激な円高は、輸入業者にとって本来ポジティブに作用するわけだが、こう世の中のニュースが連日暗いと、商量そのものが減少してしまうというネガティブスパイラルに巻き込まれ、差益で豊かに、というのにはほど遠い。
経済は、経世済民の略で「世を治め人民を救うこと」と辞書に書いてあるが、日本のリーダー達にもこの言葉の本来のコンセプトを推進して欲しいものだ。自分は、今、扱っているピアノに出会い、感動し、文字通り動いているわけだが、経済にも人の心を感動させる核になるものが提示できれば、世の中も良い方向に転じるのかもしれない。

ここでピアノの構造をすこし:

Bechstein E 1920 Reflexbalken

これは、グランドピアノ(ベヒシュタイン E 1920年製)を裏から撮影した写真。
以前、サントリーホールにF先生ご夫婦所有のピアノを持ち込み、冬の旅のコンサートをしたときに撮影したものだ。

縦横に柱があるが、その奥にある板が、響板と言うピアノの弦振動を増幅させる部位になる。響板には弦の圧力を支え、そして、振動伝搬を助ける為の、あばらのように見える響棒と言う木の梁が貼られている。(奥の右上から左下に走っている、5本見える細い木の部分)
ここで、ベヒシュタインが昔から工夫している構造として特筆できる部分は、響棒が垂直に交わる左上から右下に走る木の支え「Reflexbalken(独)、Cut off bar(英)」と、そのReflexbalkenから5本の響棒とは別に垂直に右上から左下に走る3本の響棒だ。

響板のこの部分は、構造上コーナーができてしまうので、Reflexbalken(直訳すれば反響支え)に、響板の角で響きの振動が乱反射しないように、直接的な音の波を跳ね返す堤防のような役割をさせているわけだ。
この構造は古くはチェンバロにも見る事ができるが、ベヒシュタインは21世紀にもその19世紀に培われた基本コンセプトを変えず、響きの個性作りに、尚、このReflexbalkenの構造でピアノを設計している。

演奏家が安心して表現できる、そして、僕を感動させたコンセプトは100年以上経っても変わっていない。
ハイテクだけでなく、そう言うローテクを、現代社会の中でもっと評価してみるのは如何だろう。

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