4月に山形へホールピアノメンテナンスにうかがった際に、現地の技術者から教えてもらったCDです。以前にも掲載したS.ハフの演奏、今回はクラリネットソナタの伴奏でベヒシュタインが使われています。クラリネットはミカエル・コリンズ(ボロディンカルテットとブラームスのクラリネット五重奏を入れていた記憶がありますが)。
モーツァルト・ベートーヴェン以降、ロマン派の器楽ソナタ(そんな呼び方をするのかどうか?)でのピアノの役割は非常に大きくなっていると思います。ヴァイオリンソナタ、チェロソナタしかり、そしてこのクラリネットソナタにおいても。
クリムトの珍しい風景画「ブナの森」のジャケットも美しく、クラリネットの音色を考えると秋の森をイメージしますね。8月にそれをお勧めするというのも何なんですが、8月も盆を過ぎれば朝晩は涼しくなってきますので、ご了承ください。
細かいですが、D282で製番まで記録されています。イギリスのJ.サムエルが楽器を提供しているとあります。(クラリネットはヤマハ製とも)
このベヒシュタインは硬質な音色、でも弱音が柔らかい。(以前シューマンでの掲載したシューマンでのハフの演奏は硬さが目立った気がしましたが)
晩年のブラームスは写真がたくさん残っているので、実際のイメージがしやすいですが、特に50歳を過ぎてからの曲は”枯淡”という言葉が似合うものが多いと思います。クラリネットの曲はミュールフェルトという演奏者に触発されていくつか書かれていますが、その音色が本当によく合うと思います。クラリネットソナタはヴィオラでも演奏されますが、かすれた感じの音色はクラリネットでしか味わえない。ぜひ夕陽を見つめながら聴いてほしいです。渋いです。