2023年7月20日(木)
以前にも紹介したCDで、現在はワーナーから全集として出ていあす。ベートーヴェンの9曲の交響曲をいくつかの異なるメーカーのピアノで弾いていることでも注目されました。
カツァリスがベヒシュタインを弾いているのは、1－3番、今回はその1番の紹介。自分が今ベートーヴェンの交響曲で1番好きなのは？と聞かれたら、1番と答えるでしょう。交響曲をいろいろと聞いていこうと思い立ち、1番からずっと聞いていたが3番で挫折しました（3番はやはり長い）。金聖響さんと玉木正之さんの対談形式の新書（誰かに貸して無くしてしまったが）を読みながら聞くとすごく面白いです。
はじめは5番、7番辺りから聞いていくのではないか？と思いますが、1番はその始まりから面白い。ハ長調になかなかいかない出だし、4楽章の踊りたくなるような軽快なリズム。それをピアノに置き換えていくなんて、リストはすごいなと思いますが、カツァリスはさらにそれを難しくして弾いていると。このさわやかな笑顔でサラッと（さらっとではないかもしれないが）弾き切っている。（ちなみにオケ版だと自分はインマゼールかノリントン、セルなどがお気に入り）
当時はピアノはEN280だと思いますが、つい先日も東広島のENを触らせてもらいました。細かくみるとその仕様はいろいろと試みがされていて面白いピアノです。総アグラフ式でありながら、共鳴を増やそうとしているところなど、D282と比較するとまた面白い。
ベヒシュタインの歯切れのよいリズム、そしてカツァリスの異次元の演奏。家庭で楽しむための楽譜ではないと思います。シチェルバコフもすごい演奏をしているが、カツァリスはやはり無敵だと思ってしまう。この暑い7月、キンキンに冷やした部屋で酒を飲みながら聴いてください。