修理査定

2007年1月20日(土)

1929年製のベヒシュタイン モデルLがドイツのタイヨー・ピアノ・ヨーロッパから届き、長い間お待たせしていたお客様が一昨日いらっしゃり、ご予約をいただいた。完全な契約は修理が終わってからという事になるが、とても良い感じなので、基本的に購入をされたいと言う事を前提にしたオーバーホールの開始となり、昨日は、修理をどうするか査定をした。
良く成る楽器は、修理前でも響きにオーラがある。だめな物は修理をしなくても何となく判る、というか、修復をしても限度がある。しかし、素質のある楽器は響きに艶がありppが伸びる。特に、ppの伸びというのは、弦を交換しても、ハンマーを変えても大きな影響はなく、楽器の素質に頼る部分が大きい。
そう言う意味で、今回のLもなかなか素質がある感じで、修理後の響きの様を想像するのが楽しい。
大恐慌前の「Golden 20」と言われる時代は、ピアノの製造も順調で、この時代にできたピアノは、良い物に巡り会う事が多い。今回のピアノの蓋にはローマの販売店のロゴが入っていた。大恐慌直前に作られたピアノだが、恐らく恐慌後にローマで販売され、どう言う経緯でだかドイツに渡り、それから日本にやってきた。
今度、ピアノを購入されるであろうお客様は、イタリアに留学されていたという。
色んな運命の糸が感じられるピアノの修復が、又始まる。

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