「かっこいいピアノ」と聞いてピアノそのものを考えたのですが、自分はすぐにフリードリヒ・グルダの演奏を思い浮かべてしまいました。
「ジャズも弾くへんてこなピアニスト」「ウィーン三羽烏の一人」など数多くの形容をもつかっこいいピアノを弾く人です。
自分がこの人かっこいいなと思ったのは、高校生の時ラジオで「Concerto for myself」を聞いた時ではなかったか?と思いました。それについては、ずいぶん昔のCDを紹介するブログで書いたと思いますが、ドラムやベースの入る、にぎやかな最終楽章にやられました。時折グルダのうめき声?も聞こえてきて、ミュンヘンでのライブ演奏の面白さが伝わってきました。かつての同僚で同じくグルダファンのピアニスト君からは、「キワモノですね」と言われましたが、当時の自分はがつんとやられてしまいました。
その後はバッハ、ベートーヴェン、ショパンやドビュッシー、ラヴェルなど多くのグルダ演奏を聴いてますますやられているのですが、モーツァルトのソナタや協奏曲でのアドリブもいつ聞いてもいいなぁと思ってしまいます。「僕は天才だから」とさらりと言ってのけたりするのもとにかくかっこいいですね。
シプリアン・カツァリスもかっこいいピアノを弾く人だと思いました。通常のバージョンでは満足せず、勝手に難しくアレンジしたベートーヴェンの交響曲やバッハの編曲ものも聞いていて爽快な気分になります。
ショパンの記念イヤーにカーネギーホールで弾いた映像を持っていますが、画面のワイプに映るカツァリスが、客席を見ながら「俺ってすごいだろ?」とあおりながら弾いているところが「かっこいい」。3番ソナタの最終楽章、少し椅子を斜めにして客席に体を向けつつ、小柄なのに1.5倍くらい大きく見えました。他からあまりきれいな音には興味がないとか、弾き飛ばしているというような話も聞きますが、これからもいろいろと新しい曲を聞かせてほしいと思います。
皆さんにとっての「かっこいいピアノ」を弾く人は誰でしょうか? 次回は「キスマークのついたピアノ」です。