ベヒが買いたい!(最近読んだ本から)

2025年1月19日(日)

 

昨年末から鹿島茂氏の『馬車が買いたい!』(白水社)を読みました。以前読んだ青柳いづみこさんの著書に、ショパンもパリでは馬車がとにかく買いたくて仕方がなかったと、この本が紹介されていた。そして偶然昨年12月に調律で訪問したお客さん宅の本棚にこの本を見つけたので、「これは読めということだな」と、さっそく探してきました。運よく新装版があり、じっくりと読み始めました。

18世紀、19世紀のパリを中心にした話ですが、当時の文学をよく読んでいないとわからないとお客さんにも言われました。自分としてはこういう時にいつも気になるのが、当時の通貨(貨幣)価値(今と比べてどのくらいの価値なのか?)である。鹿島氏の著書にはそのことも書いてあり、なかなかありがたかったが、ものすごく高いのだなぁとか、それほどでもないのかも、というくらいにしか自分は理解できず。

このような話はピアノにもあり、ベートーヴェンの時代から20世紀半ばごろまで、ピアノは非常に高いものだった。(まぁ今でも高いのですが) アップライトピアノ1台で家が2軒建つと言われても、それって東京に?戸建て?とか、今の貨幣価値との格差もどこか曖昧でなかなかわかりにくい。

とはいえ、パリでショパンや有名になりたい人達が社交界デビューするために、とにかく馬車が必要で、そのためにお金を稼いでいたという話はすごく新鮮だった。今でいうフェラーリやマセラティ、ランボルギーニで会場入りするといったところか? その馬車の走る道もとにかく汚くて、往きは馬車でも帰りは歩きみたいな時は悲惨だったとも。着ていく服も既製服はなくオーダーメイドで、しかも流行のはやりすたれも早く、とにかく大変だったと。

さらに年明け、今度は磯山雅氏の『モーツァルト』(ちくま文庫)を読んでいて、フランクフルトでの皇帝の戴冠式に呼ばれていないのに、馬車を仕立てて乗り込んだとの記述があり、相当な出費だったのだろうなと。その時弾いたと言われる26番のピアノ協奏曲を聞きながら思いました。

『馬車が買いたい!』に続いて、同じく鹿島氏の『パリ・世紀末パノラマ館』(中公文庫)を購入。まだ読み終えていないけれど、当時のパリ(フォーレ、サンサーンス、ドビュッシーやラヴェルらの活躍した)の様子が少しでも感じられそうな内容だ。近代オリンピックや万博、メトロなど。自分は縁あってドイツ語を学び、少しの会話位はまだいけるんじゃないか?と思っているが、フランス語は何回か試みては挫折。テキストを購入して満足してしまっていることが多く、さらにイタリア語やスペイン語にも興味がわき、なかなかです。

ピアノ音楽ではドイツ系はかなりの影響があると思うが、文化全般となると近代フランス・パリのもたらした影響はやはりヨーロッパでは群を抜いている。少しずつでもその文化や風習、出来事などを知ることから始めていきたい、と年始めに思ったのでした。ピアノ曲はフォーレの歌曲「月の光」のピアノ編曲版を練習中。

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