先週ドイツに出張した。
今年の春は高松国際ピアノコンクールの仕事があった為、丁度同時期に開催された普段訪れる筈のフランクフルト・メッセに行くことができなかった。
なので、一年二ヶ月ぶりのドイツだった。
今回の主な目的は中古ピアノの選定だった。
予め目ぼしい物を、ドイツの子会社でリスト化してもらえていたので、“探す”のではなく、文字通り選定作業と輸入の優先順位決めだった。
今回の最も驚いたのは、ドイツでの外装の好みの変化だった。
自分が住んでいた20数年前、よく聞いた外装はオークの田舎風だった。ピアノ専門店には必ずオークの外装が何台かあった。そこに、クルミやマホガニーが混ざっていた感覚だった。それから数年程経ったら、サクラ、ナシ、イチイ等の明るめの木材や、スノーホワイトの外装が混ざるようになり、同時にオークは新品で見ることが無くなってきた。
今は、木目のピアノは売れないそうだ。
日本で好まれるクルミのチッペンデール等は特に関心外だそうだ。
折角のクルミなのに「この外装を黒にぬらないと売れないよ」と言う話を聞いたときは更に驚きが増した。
特に新品のアップライトピアノは購入層が比較的若いゆえ、モダンなイメージを好む人達が顧客対象になっているのだろう。
今回主に滞在したホテルは昔風の内装のままだったので、家具は自分の中でイメージするドイツの田舎風のオーク材で調度品は統一されていた。
こちらはそこで生活をしているわけで無いので、この方がせっかく時間をかけて来た甲斐がある。
しかし、現代的なホテルなどから想像するに、モダンな調度品が特に若い世代では主流になってきているのだろう。
このような背景も手伝い、今のピアノの主流は黒艶だそうだ。
反面、今回訪れたアンティーク好きのピアニストの家では、映画などで見る戦前のヨーロッパのイメージを満喫できた。
流行は変化するが、又オークやクルミが好まれるようになるのはいつになるだろう?
自分は、木地仕上げの調度品に囲まれていた方が落ち着くかな。。。