ここ数年のピアノの国内価格の上昇は、目を見張るものがある。昨年も国内ありとあらゆるものが値上がりし、もう数パーセントの値上げには驚かなくなってきている? しかしその分自分の給料が上がったのか?と言われると、「否」とこの業界は言わざるを得ない、と自分は感じているが、全くそうでないところもあるのかもしれない。(思い返すとベヒシュタインのコンサートシリーズは国内価格値下げしていました、えらい!)
ベヒシュタイン・ホフマンの国内小売希望価格を調べていると、年平均3-4%の値上げがここ数年続いている。モデルや外装によってはもっと上がっているものもある。とはいえ、同業他社の動きをにらみつつというのがあるが、まだ控えめなのではないかとも思う。円安が続き、昨年は1年で20円以上ユーロが円に対して上がったのではなかったか。輸入販売業は非常に苦痛を強いられていると言ってよいだろう。
値上げしてもどんどんピアノが売れている時代であれば、全く問題がないと言えるのだが、この少子高齢化の時代、ピアノは常に贅沢品であり、長持ちするピアノはそうそう買う(買い替える)ものでもなく、メーカー、楽器店にとってはますます厳しい時代となってきている。そうなることは前から知っていてこの業界へ入ったので、文句は言うなと言われればその通りなのだが。
技術者も、調律件数はそんなに減っていなくても(団塊の世代の現役引退や、コロナを契機に早めに廃業する人もでてきた)、今後ピアノが減っていけば年間調律台数は減っていくことになる。まったく売れないということはないだろうが、自分たちはよくても、この先の世代が大変(そもそもこの業界へ入ろうとする人が減っている)になるのだろうなと感じている。
もっと前にさかのぼれば、ピアノ1台で家が建つともいわれた時代があった。今でいえば1台が2,000万円くらいだったのだろうか?その当時の物価から類推しているものもあるが、今からではなかなか想像できないし実感もなかった。特に日本は2大メーカーの企業努力により大量生産が実現し、ピアノの価格がものすごく下がったことを実感している。なので、この値上がりに対しては、相当の拒否反応があるのかなと思う。でもコンサート用のグランドピアノは今や国内価格4,000万円越えも出てきたので、そのレベルのものを考えれば家が余裕で建つということになるだろう。
ピアノが必要な人にとっては、やはりいつかは自分で持たないといけなくて、弾けば部品が消耗し新しくしなければいけなく、その選択肢の中にベヒシュタインが残っていかなければいけないのだ、と思う今日この頃。
次回は「チッコリーニのピアノ」ということで。